大相撲
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高安や稀勢の里も…“腰高の力士”が無理に腰を落とすと攻めるスピードが落ちる
一年納めの九州場所が13日に初日を迎える。照ノ富士の休場が確実で、場所前から優勝争いの展望に関脇以下の名が飛び交っている。 東前頭筆頭の高安もそのひとり。今年はコロナ関連で2場所全休した不運にも腐らず、秋場所は千秋楽まで玉鷲...
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力士を育てるだけではない…親御さんから「大事なご子息を預かる」相撲部屋の“責任”
相撲部屋で重要なのが、弟子のスカウト活動です。さまざまなツテが必要であることは前回述べましたが、私とおかみが知恵を絞って考えたのが、荒汐部屋のホームページ(以下HP)作成でした。 これからの時代はネットが力士入門希望者とのや...
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昔は入門希望者殺到したが…少子化で四苦八苦、相撲部屋のスカウト事情
親方の仕事で一番、重要なものが力士のスカウトです。協会の業務も大事ですが、それ以上に弟子を集め、育て、一人前の力士にするのが相撲部屋の本分です。 新弟子が年に200人を超えていたような時代は、それこそ黙っていても入門希望者が...
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「しこ名」命名の傾向と特色…画数が悪いと自分で変更を申し出る力士も
大相撲の力士は本名としこ名の2つの名前を持ちます。多くの力士は入門直後は本名を名乗り、出世するとしこ名をつけるケースが多い。 そのしこ名のつけ方ですが、これも各部屋や個人ごとにさまざまです。オーソドックスなのは故郷や部屋の伝...
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千代の富士の横綱像とウルフスペシャルの由来「勝って騒がれる横綱になろう」
亡くなったアントニオ猪木さんが新しい技を披露したのは、1960年代後半だった。小学生の私たちは、すぐプロレスごっこで試した。前かがみにさせた相手の左足に自分の右足を絡め、左足を相手の首に掛け、左の脇で相手の右腕を背中側へひねり上げる...
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九州場所は3カ月の長期出張「夏物を着て行って、冬物を着て帰る」と福岡担当の親方たち
親方にはさまざまな仕事があります。巡業部や審判部、広報部、監察委員といったものから、観覧券を扱う木戸や地方場所担当などもあります。 引退した親方1年生は指導普及部に配属されることが多いです。その後は昇進にともない他の部署への...
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横綱照ノ富士とは対照的!大関正代の「昇進披露パーティー」は想像するのも恐ろしい
「照ノ富士・横綱昇進披露パーティー」が10月16日、盛大に開催されたそうだ。昨年7月の名古屋場所後に昇進したが、コロナ禍で延び延びとなっていた。挨拶に立った横審の委員が言った。 「序二段まで陥落して、誰にも負けない不屈の精神と血...
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九州場所の思い出…倉庫で地元の土を2カ月間寝かせて土俵を作った
大相撲の巡業は必ず先発の親方がいて、宿や会場の交渉をしなくてはならないことを前回お話ししました。 巡業で使用する土俵をチェックするのも先発の親方の仕事です。本場所の土俵は呼び出しさんが総出で作りますが、巡業だと勧進元が専門の...
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意外と知られていない「親方のお仕事」 巡業中の宿の部屋の割り振りもひとりで
私がまだ荒汐部屋の師匠で蒼国来が現役だった時代は、朝稽古の開始は朝6時半でした。蒼国来が「荒汐親方」となった現在、朝稽古は7時半開始になりました。 私が6時半にしていた理由は、稽古時間が早ければ、外出した力士も早く部屋に帰っ...
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蒼国来を感嘆させた若元春の四つ相撲 結婚後は負けん気を前面に出すように
出世争いでは弟の若隆景に後れを取りましたが、若元春の活躍も目覚ましいものがあります。 ■新入幕後4場所勝ち越し 十両筆頭だった去年11月場所で11勝4敗の好成績を残すと、今年1月場所で新入幕。7月の名古屋場所を除けば、...
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関脇・若隆景の強みと不安 大関に最も近い力士の天性の素質
元師匠としての欲目を抜きにしても、現在もっとも大関に近いといえるのが、関脇の若隆景でしょう。 今年3月場所を12勝3敗で初の幕内優勝。そこから5場所連続で関脇の地位を守り続けています。 若隆景の武器は下から上への強烈...
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若隆元、若元春、若隆景「大波3兄弟」は三者三様 “相撲の素質”が一番あるのは…?
若隆元、若元春、若隆景の3兄弟は性格も三者三様です。 長男の幕下・若隆元は小さい頃から下2人のまとめ役をやっていたこともあるのか、落ち着いた性格。これは入門する前もそうでしたし、入門後も変わりません。 次男の平幕・若...
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大横綱・双葉山の一番弟子の孫「大波3兄弟」たちの入門秘話
今年9月の秋場所では荒汐部屋の関脇若隆景(27)が11勝4敗、平幕若元春(29)が10勝5敗と勝ち越しました。この2人と幕下若隆元(30)が、いわゆる「大波3兄弟」です。 彼らのおじいさんは元小結の若葉山さん。大横綱・双葉山...
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祝賀会で二子山親方がひと言「高谷(隆の里)がいつもお世話になっています」
16日に照ノ富士の横綱昇進、23日には正代の大関昇進を祝うパーティーが予定されている。コロナ禍で延びていたのだが、照ノ富士は秋場所を途中休場したとはいえ膝を心配する声が多いからまだしも、九州場所が5度目のカド番となる正代は針のむしろ...
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師匠を交代してから稽古場に下りた回数は片手で数えられるくらい
10月2日、蒼国来の断髪式(写真)が国技館で行われました。来ていただいた、たくさんのお客さまには感謝しかありません。私も止めばさみを入れる時はこれまでのさまざまな思い出が頭をよぎり、ジーンとしてしまいました。 力士としての花...
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荒汐部屋の跡継ぎを打診するも…蒼国来は一度「親方にはなりません」と断った
私の誕生日は1955年3月29日。65歳になる1日前、2020年3月28日が定年を迎える日だったのですが、2日早めて26日に相撲協会を退職しました。そんな私の跡を継ぎ、蒼国来が「荒汐親方」となったのです。 中国内モンゴル自治...
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土俵復帰した蒼国来は思わず「支度部屋の視線がつらかった」と漏らした
蒼国来は十両に昇進する前くらいから体が大きくなり始め、苦手だった押し相撲にも対応できるようになりました。まわしを取れば、自分の相撲が取れる。 血筋としてはモンゴル出身力士の系譜ですが、彼らほど相撲は速くない。でも、小力が強い...
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蒼国来の十両昇進で電話が殺到! 爆発寸前のガラケーを買い替える羽目になった
レスリングのように肩口からぶつかっていく立ち合いも改善され、徐々に番付を上げていった蒼国来。入門7年目の2009年11月場所は幕下筆頭で5勝2敗の好成績を残し、晴れて十両に昇進することが決まりました。 あれは私が福岡の宿舎か...
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蒼国来はレスリングの癖が抜けず…毎日のぶつかり稽古で矯正した
内モンゴルではレスリングを学んでいた蒼国来ですが、大相撲ではこのレスリング経験が大きく足を引っ張りました。 運動神経そのものはいいとはいえ、問題は立ち合いです。頭からガツンとぶつかる相撲に対し、蒼国来は頭が当たらないように肩...
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玉鷲37歳10カ月での最高齢V! 驚異の“サンドイッチ”稽古が「老いてなお強い」を下支え
この記録を塗り替える者がいるとすれば、それは自分自身か。 ■3年ぶり2度目V 前頭3枚目の玉鷲が自身3年ぶり2度目の優勝。37歳10カ月での賜杯は、年6場所制が定着した1958年以降、史上最年長。2012年5月場所を3...
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「若い頃は軽い方がいい」宇良の復活に重なる栃木山の育成論
秋場所4日目(14日)、宇良が宝富士に勝った一番の決まり手は、伝え反りだった。2001年初場所で加わった決まり手の一つ。翌年秋場所で朝青龍が貴ノ浪に決めて以来、出ていなかった。 相手の脇の下をくぐり抜けながら体を後ろへ反らせ...
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蒼国来は冷たい水を一切飲まず…入門当初は互いに文化の違いを痛感しっぱなし
2003年に初めての外国出身力士である蒼国来を迎えた荒汐部屋ですが、我々も本人も文化の違いに困惑することは何度もありました。 よく焼かれた肉しか食べない、ヨーグルトをご飯にかけて食べるのは前回お話ししました。それ以外でも、食...
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照ノ富士が無念の休場、長期離脱の可能性…横綱不在危機に「後釜」候補はただ1人
やはり、「重傷」だった。横綱照ノ富士(30)が昨20日、休場届を提出。診断書によれば「両変形性膝関節症、右膝骨挫傷にて3週間の安静加療を要する見込み」とのことだが、実際は全治3週間では済まされない。 師匠の伊勢ケ浜親方(元横...
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食文化の違いを痛感…蒼国来は来日当初、白米にヨーグルトをかけて食べていた
蒼国来が来日したのは2003年6月28日。この年の4月に中国内モンゴル自治区でスカウトし、荒汐部屋として3人目の弟子、初の外国人出身力士となりました。 来日当日は私も成田空港に迎えに行きましたが、待てど暮らせど蒼国来がゲート...
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玉鷲が1横綱2大関2関脇撃破で6連勝も…37歳の「鉄人」がこれから迎える正念場
誰よりも強く、そして若々しい。 16日は横綱照ノ富士が宇良に敗れ、3大関も全滅。横綱大関が全員出場した上での総崩れは、2006年9月場所6日目以来、ちょうど16年ぶりの屈辱である。 そんな中、彼ら上位陣に連日、土をつ...
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平戸海雄貴は近年では珍しくなった中卒力士 その並外れた努力と根性
体格に恵まれているわけではない。天性の素質があるわけでもない。しかし、気力と根性だけは誰にも負けない。 【写真】この記事の関連写真を見る(11枚) 近年、めっきり減った中卒力士。地元の平戸市立中部中学校を卒業すると、同...
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蒼国来は第一印象では目に留まらなかった 体育館でたったひとり相撲指導を受けた
中国内モンゴル自治区まで弟子をスカウトに行った2003年4月。「これは」と思う子に軒並み断られた私が宿泊するホテルに、地元テレビ局の人が1人の少年を連れてきました。 それがエンクー・トプシン、後の蒼国来であることは前回述べま...
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宇良が朝青龍以来、20年ぶり2度目の大技炸裂!「客を呼べる力士」の本領発揮
声出しNGの大相撲で大歓声がとどろいたのを、一体誰が責められようか。 14日、前頭3枚目の宇良(30)が過去に1例しかない「伝え反り」を宝富士に繰り出し、3勝目を挙げた。 【写真】この記事の関連写真を見る(11枚) ...
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スカウト交渉に難儀…初めて訪れた内モンゴル自治区は見渡す限りの荒野だった
私の後を継いで荒汐部屋の師匠となった荒汐親方、元幕内蒼国来と出会ったのは、2003年4月。弟子をスカウトするため、中国内モンゴル自治区に行った時です。 当時は朝青龍や旭鷲山、旭天鵬ら、モンゴル人力士が土俵で活躍していました。...
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水戸龍聖之は入門した部屋が悪かった? 天賦の才生かせず稽古嫌いに
「別の部屋に入っていれば……」 そう思う関係者は決して少なくない。 【写真】この記事の関連写真を見る(11枚) モンゴルから相撲強豪校の鳥取城北高に留学し、日大相撲部ではアマチュア横綱と学生横綱の2冠を達成。幕下...