健大高崎・石垣元気の「高卒直メジャー」に現実味…手負いの今秋ドラ1候補巡り日米が綱引き

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「おいおい、本気で試合で投げるつもりか?」「いくらなんでもムチャだよ!」

 甲子園のネット裏で視察していた12球団のスカウトが騒然としたのは、センバツの1回戦が行われた18日のこと。

 最速158キロを誇る今秋ドラフト1位候補、健大高崎(群馬)の石垣元気(3年)が、大会前に左脇腹を筋挫傷したにもかかわらず、明徳義塾戦の試合前にブルペン入りしたのだ。

 明徳義塾戦での登板はなかったが、23日の敦賀気比戦で1点リードの九回2死一塁から2番手でマウンドへ。初球にいきなり150キロをマークすると、5球投じた直球は全て150キロを超えた。

 昨26日の花巻東戦も八回から3番手で登板すると、センバツ史上最速を更新する155キロを連発。2回1安打無失点に抑えてベスト4進出に貢献したが、パ球団のスカウトは「試合で投げさせるなんて、常軌を逸しています」と、こう続けるのだ。

「いくら甲子園の大舞台とはいえ、1回戦のブルペンで、立ち投げで軽めに投げること自体、普通ではない。脇腹の故障はクセになりやすく、非常に繊細な箇所。損傷の程度にもよりますが、全治まで1~2カ月かかることもあり、当面はノースローです。痛みが長引くケースもあれば、痛みが引いても投げることで再び痛みが出ることもある。患部をかばって投げることでフォームが崩れ、肩肘に負担がかかりやすい。この日も、球速こそ出てはいるものの、2イニング目にボールがすっぽ抜けるなど本来のデキにないのは明らかです。脇腹をかばっているせいか、いつもよりカラダのひねりが小さい。腕が遠回りしてしまい、球離れも早くなっている。このまま投げ続ければフォームのバランスを崩しかねないし、肩や肘の大ケガにもつながりかねません」

 そもそも石垣が左脇腹を痛めたのは、「大会前の調整がうまくいかなかったことが原因」との声がある。セ球団スカウトが続ける。

「センバツ開幕直前の8日、享栄(愛知)と練習試合で完投。その日は朝から気温が低く、ミゾレが降る悪天候だった。そして、13日の京都国際との練習試合で投げている最中に脇腹を痛めて緊急降板。筋損傷との診断を受けた。150キロ超の直球を投げる石垣はただでさえカラダへの負担が小さくないだけに、無理が生じたと考えるのが自然です。そんな中、試合で150キロを連発しているから気が気じゃない。今はアドレナリンが出ているからまだしも、大会後のカラダの状態が心配。それ次第では、評価を落とさざるを得なくなります」

 ドラ1候補が評価を落とすことになれば、今秋のドラフト戦線に影響が出るのは間違いないが、その影響は本人の進路にも及ぶかもしれない。

 健大高崎の青柳監督は本紙の取材に、「大学は行かないので日本のプロか、米国という選択肢もゼロではないと思います。もし、日本の球団からの評価が低かったら、米国に行ってもいいとは思っています」と話している。かねてメジャーの複数球団が視察に訪れているうえ、昨オフには桐朋(東京)の森井翔太郎がプロ野球を経ずにアスレチックスとマイナー契約を結んだ。森井は争奪戦に発展したこともあり、契約金はプロ野球のドラフト1位の上限(1億円+出来高5000万円)を大幅に超える150万ドル(約2.3億円)に達した。メジャーが本気を出せば、金銭面では到底、太刀打ちできない。

 前出の青柳監督も「去年まではそんなことはなかったんですが、今年の春から急に、です」と話したように、森井の「直メジャー」効果でアジア担当スカウトがアマ選手を視察する機会が増えている。さる米メディア関係者が言う。

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