著者のコラム一覧
武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

箱根駅伝を無理に「世界」や「マラソン」と結びつけて感動を煽るヤボはいらない。駅伝は駅伝なのだ

公開日: 更新日:

 中学生の孫に箱根駅伝ファンがいる。

 女の子で各校の内情を細かく知っている。卒業生に興味はないただの駅伝好きだ。2度目の万博を迎える大阪で、学生と実業団の精鋭による「エキスポ駅伝」が開かれるという。前回からのタスキ? 要は駅伝は耳目を集めるのだ。よほど日本人の肌に合うようで、びわ湖毎日、福岡国際など老舗マラソンが幕を下ろしても、駅伝はますます盛況である。

 最初の駅伝、大正6年の「東京奠都記念東海道駅伝徒歩競走」をヒントに金栗四三は箱根駅伝を立案した。ストックホルム五輪の雪辱を期す選手発掘の手段で、当時、マラソン=42.195キロは確定しておらず、大人数による普及強化──対抗戦、団体戦で分かりやすいから、戦後も織田幹雄が「年に何百回もやる県がある」と嘆いたほど全国で駅伝が開かれた。

「箱根から世界へ」「マラソンの登竜門」……主催する読売新聞や日本テレビのキャッチをうのみにしてはいけない。第1回大会の1920年は五輪イヤーで、早稲田の5区・三浦弥平はマラソン選考に備え手を抜き糾弾された。箱根から五輪代表になった選手はまれ、メダルを取った選手は南昇龍以外いない。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  2. 2

    「高額療養費」負担引き上げ、患者の“治療諦め”で医療費2270億円削減…厚労省のトンデモ試算にSNS大炎上

  3. 3

    萩原健一(6)美人で細身、しかもボイン…いしだあゆみにはショーケンが好む必須条件が揃っていた

  4. 4

    おすぎの次はマツコ? 視聴者からは以前から指摘も…「膝に座らされて」フジ元アナ長谷川豊氏の恨み節

  5. 5

    “年収2億円以下”マツコ・デラックスが大女優の事務所に電撃移籍? 事務所社長の“使い込み疑惑”にショック

  1. 6

    歪んだ「NHK愛」を育んだ生い立ち…天下のNHKに就職→自慢のキャリア強制終了で逆恨み

  2. 7

    僕に激昂した闘将・星野監督はトレーナー室のドアを蹴破らんばかりの勢いで入ってきて…

  3. 8

    日本にむしろ逆風…卓球王国中国で相次ぐトップ選手の世界ランキング離脱と進む世代交代

  4. 9

    「(来季の去就は)マコト以外は全員白紙や!」星野監督が全員の前で放った言葉を意気に感じた

  5. 10

    迷走するワークマン…プロ向けに回帰も業界では地位低下、業績回復には厳しい道のり