下積み時代のポール牧さんの無断居候を「知ってたよ」…黙認していた元横綱栃錦の懐の広さ

公開日: 更新日:

マムシが今の時代にいたなら…

 あの頃の親方たちが、あれはできない、これも言えない今の時代にいたなら、何に目を光らせ、何に目をつぶり、どんな指導をしただろうか。柱の陰で大部屋をそっと見ていたマムシ(栃錦の異名)の目を想像する。

 問題力士は巧妙に親方の目を盗んで悪事をはたらく。仕返しをちらつかせ被害者も口が堅くなる。多くの部屋持ち経験者は「一つ屋根の下にいるからって、全部分かるものじゃない」という。

 規則が厳しくなるほど悪質な力士は陰湿になり、親方が厳しく叱れないことも見すかす。それを見て見ぬふりなどすれば、つけ上がり、被害が大きくなる。苦労してスカウトした弟子を簡単に「一発退場」にはできないだろうが、指導を間違えれば他の真面目な弟子が相撲協会の指示で他の親方の弟子になってしまう。

 師匠たちが、交友関係や後援者によって人の育て方などを学ぶ機会も減っている。八角理事長(元横綱北勝海)は協会による「師匠の指導」を重要課題に挙げて研修などを行ってきたが、宮城野部屋の問題は、協会が課題を遂行できていないことも示した。

▽若林哲治(わかばやし・てつじ)1959年生まれ。時事通信社で主に大相撲を担当。2008年から時事ドットコムでコラム「土俵百景」を連載中。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

編集部オススメ

  1. 1

    作家・紗倉まなさん 実の祖母をモデルにした意欲作『うつせみ』に込めた思い

  2. 2

    SNSを駆けめぐる吉沢亮の“酒グセ”動画…高級マンション隣室侵入、トイレ無断拝借でビールCM契約解除→違約金も

  3. 3

    “お花畑”の何が悪い! 渡辺えり×ラサール石井【同世代 辛口対談】私たちの「戦争と平和」

  4. 4

    横浜流星「プライベートでも全てが芝居に生きると思って生活」NHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』主人公に抜擢

  5. 5

    違法薬物で逮捕された元NHKアナ塚本堅一さんは、依存症予防教育アドバイザーとして再出発していた

  6. 6

    “多様性”ツギハギだらけNHK紅白歌合戦の限界と今後…盛り上がったのは特別枠のみ、2部視聴率はワースト2位

  7. 7

    パワハラ疑惑で自身もピンチの橋本環奈がNHK紅白歌合戦を救った!「アンチ」も「重圧」もガハハと笑い飛ばす

  8. 8

    中居正広「女性トラブル」に爆笑問題・太田光が“火に油”…フジは幹部のアテンド否定も被害女性は怒り心頭

  9. 9

    旧ジャニーズファン大荒れ!中丸雄一復帰の火消しかその逆か?同日にぶつけたWEST.桐山照史と狩野舞子の“挑発”結婚報告

  10. 10

    木村拓哉の"身長サバ読み疑惑"が今春再燃した背景 すべての発端は故・メリー喜多川副社長の思いつき

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「暮らしやすい都道府県」東京都は2位…じゃあ1位は? 前回調査の首位は陥落していた

  2. 2

    中居正広の騒動拡大で木村拓哉ファンから聞こえるホンネ…「キムタクと他の4人、大きな差が付いたねぇ」などの声相次ぐ

  3. 3

    木村拓哉「グランメゾン・パリ」絶好調も佐藤健「はたらく細胞」に惜敗のトホホ

  4. 4

    フジテレビが“だんまり”する中居正広騒動への対応、同社の「コンプライアンス ガイドライン」も炎上中

  5. 5

    出演者は松本人志に「文春は裏取りしている」と女性擁護だったが、中居騒動には? 12日放送「ワイドナショー」に集まる注目

  1. 6

    吉沢亮の泥酔マンション隣室侵入騒動で「ソリオの呪い」再び…スズキ自動車がトバッチリのお気の毒

  2. 7

    佐々木朗希の「独りよがりの石頭」を球団OB指摘…ダルやイチローが争奪戦参戦でも説得は苦戦必至

  3. 8

    吉沢亮「泥酔不法侵入」で辿る"全裸騒動"草彅剛と同じイバラ道…「CMスポンサーが敬遠」の厳しい現実

  4. 9

    中居騒動で“上納システム”に言及した「ガーシー砲」に再び注目が…薬物逮捕の局員は中居と懇意だったとの動画証言も

  5. 10

    元キャバ嬢の「ギャル船長」が舵を取る極上カワハギ釣りを体験した