元川悦子
著者のコラム一覧
元川悦子サッカージャーナリスト

1967年7月14日生まれ。長野県松本市出身。業界紙、夕刊紙を経て94年にフリーランス。著作に「U―22」「黄金世代―99年ワールドユース準優勝と日本サッカーの10年 (SJ sports)」「「いじらない」育て方~親とコーチが語る遠藤保仁」「僕らがサッカーボーイズだった頃2 プロサッカー選手のジュニア時代」など。

(3)長友佑都は「オーストラリアに勝ってW杯出場を決めたい」と鼻息荒く語った

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 2010年南アフリカ、2014年ブラジル、2018年ロシアとW杯過去3大会出場の川島永嗣(ストラスブール)の39回目の誕生日である20日朝。日本代表の第一陣7人が、24日の2022年カタールW杯・オーストラリア戦に向けてシドニー入りした。

 出発直前に絶対的1トップ・大迫勇也(神戸)と百戦錬磨の右SB酒井宏樹(浦和)の両ベテランが、負傷離脱するというショッキングな一報が流れた。チームに暗雲が漂う中、20日夕方に予定されていた現地初練習もキャンセル。選手たちの状態が気がかりだ。

■ 大迫の辞退で最前線には上田か

 大迫辞退のニュースが、現地に届いたのは19日夜だった。21日の夕方練習にMATE(マイト)FCの子供たちを連れていく予定になっていた元日本代表FW田代有三さんは悲報を受け止めた。

「サコは鹿島の後輩であり、今の代表で面識のある数少ない選手。サコに憧れる日本人の子供もいるので、生でプレーを見せてあげられなくてホントに残念です」と落胆を口にしていた。

 その思いは森保監督も一緒だろう。2日のJ1横浜戦で右足裂傷を負った彼が15日のACLメルボルンV戦で120分間プレーし、2発という華々しい働きを見せたことで安堵感をのぞかせたからだ。

 結局、東京五輪代表の林大地(シントトロイデン)を追加招集したが、最前線は上田綺世(鹿島)、前田大然(セルティック)の誰になるのか、それとも別の選択肢があるのか。そこが豪州戦の重要なポイントになりそうだ。(※編集部注=JFAが21日、前田大然が体調不良により代表不参加と発表した)

サッカーも仕事も並行して取り組む

 揺れ動く日本代表が現地に着く直前。筆者は前夜にナショナル・プレミアリーグ(NPL)・ニューサウスウェールズ州2部(=オーストラリア3部相当)の試合に出場した長谷川悠(セント・ジョージ・セインツ)と再び会い、シドニー空港に近いボタニー湾沿いのカフェで2019年末のJ2長崎退団以降の動きを聞いた。

「自分はJ8クラブで14年プレーしましたけど、同じことを続けていても、1人の人間として、競技者として限界がある。今後の人生を考えた時、異国でいろんなことを学んだ方がプラスだと考え、J2山形時代の先輩・有三君に相談。2020年2月に単身渡豪し、留学ビザでウーロンゴン・オリンピックというローカルクラブに入って、英語学習と飲食店の仕事を掛け持ちすることになりました。翌2021年はNPL1部のシドニー・オリンピック、今年は同2部のセント・ジョージに来ましたが、英語のレベルを上げることが最優先。サッカーと仕事も並行して取り組み、最終的に永住権を取れるように頑張りたい」と、30代半ばの彼は新たな挑戦に目を輝かせた。

 長友佑都(FC東京)と吉田麻也(サンプドリア)は長谷川と同世代。異なる世界に身を投じた元Jリーガー仲間の積極性に負けないように、大一番で活躍してほしいと改めて感じた。

現地ホテルのスタッフは日本戦のことを……

 この後、空港で取材仲間と合流。レンタカーの手続きをやった。事前に保険フルカバーで7万2000円のトヨタ・カムリを選んだはずが「予約サイトの提携保険は加入済みだが、レンタカー会社の保険は別。ドライバーも1人追加で合計405オーストラリア㌦(約3万6000円)かかります」と涼しい顔で言われてしまった。

 これには面食らったが、先月、自家用車の後部ドアを凹ませて修理したばかりの筆者が保険なしというのはリスクが高すぎる。高くつくが安心・安全には代えられないと思い、支払った。

 仲間の運転をナビしつつ、約30分後には宿泊先に到着。市街地とシドニー・オリンピック・スタジアムの中間地点にある同ホテルは、2015年1月のアジアカップ時にも滞在したところ。値段が比較的安く、駐車場無料で、土地勘もあったため、7年ぶりに再訪した。ただ、出迎えてくれた受付スタッフに「来週、オーストラリアと日本のサッカーの試合があるんだけど」と話しかけたが、「あぁそうなの……」と無関心。一般の人には、その程度かもしれない。

■愛するW杯の4回目に出たい

 ホテルの施設内はコロナの特別対策が講じられているかと思いきや、消毒液が設置されている程度で特別な配慮はなし。が、ネット回線の速度が速く、仕事場としては快適だ。

 ショッピングセンターも車で3~5分と近い。すぐに出かけ、水や果物などの食材を買い込み、臨戦態勢に入ったが、残念ながらこの日は外での練習が中止。我々は夜に長友、権田修一(清水)、谷口彰悟(川崎)、上田の国内組4人の話をZoomを介して聞くだけになった。

「僕の愛するW杯の4回目に出たい」と語気を強めたのは長友。今季J開幕後は左SBで一度も先発していないが、「90分試合をしてきたし、コンディションは全く問題ない。オーストラリアに勝って決めたい」と鼻息が荒かった。彼にとってシドニー・オリンピック・スタジアムは、7年前のUAE戦でPK負けした因縁の地。負の歴史を打ち破るべく、大ベテランには強烈な牽引力を期待したい。(つづく)

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