日ハム新庄監督「優勝なんか目指しません」に落合博満氏「選手がかわいそう」と喝破の波紋

公開日: 更新日:

「あれはちょっと理解できなかったね」

 6日、日本ハム対巨人戦でテレビ解説を務めた元中日監督の落合博満氏(68)が「新庄流」を斬り捨てた。

【写真】この記事の関連写真を見る(24枚)

 日本ハムの新庄剛志監督(50)が就任会見で「優勝なんか目指しません」と言い切ったことについて、「勝つためにやるのがプロ野球。優勝しなくていいというのが出てきた時点でクエスチョンマーク」と持論を展開。実況アナが「今年一年間は選手の実力を見極める方針だ」などとフォローすると、「だったら選手はかわいそう。選手は勝ちたい、優勝したいためにやっているんだから。給料を上げたいというふうに一生懸命やっている。それにストップをかけるようではモチベーションが上がらないのではないか」と喝破した。

 さらに、キャンプからガラガラを使って試合のスタメンを決め、日替わりオーダーを組んでいることについては、苦笑いを交えて「好きにやればいいんじゃないですか。それしか言いようがない。シーズンに入ったらそういうことはしないでしょうけどね。オープン戦だからできることであってね」と突き放すように言った上で、こう指摘した。

「主力がそろそろゲームに出始めるが、日本ハムの場合は誰が主力なのか、誰が脇役なのか選手もわかってないんじゃないですか。例えば今までレギュラーだった選手がシーズンに入ってスタメンから外れたら、何で外れんだろうと不信感が出てこないとも限らない」

■選手会長の近藤健介は「僕は勝ちたい」

 新庄監督は先日出演したテレビ番組で、元ヤクルト監督の古田敦也氏が日本ハムを最下位に予想したことに対し、「だってそんなに勝ちたいと思ってないですもん」とも言っていたが、選手会長の近藤健介(28)はキャンプ打ち上げの際に、こんな本音を漏らしている。

「ボスが言っている通り優勝しないと言っているので、まずは自分たちの個々の力を上げる。自分自身が進展して一つでも二つでもレベルアップしていきたい。矛盾していますが、僕は勝ちたいので、勝って笑って終われるシーズンにしたい」

 落合氏が言うように、選手からすれば最下位より優勝した方が給料が上がると考えるのは当然。公式戦で負けが込むようなら、指揮官への反発の声が出てきてもおかしくない。

落合氏の持論は「勝つことが最大のファンサービス」

 もっとも、新庄監督と落合氏とでは野球に対する考え方や勝つためのアプローチの方向性が大きく違う。

 新庄監督は「ファンは宝物」をチームスローガンに掲げ、この日も三塁コーチに立つなど、勝っても負けてもファンに喜んでもらいたいと考える一方で、落合氏は「勝つことが最大のファンサービス」との持論がある。2004年、指導者経験がない中で中日の監督に就任した際、「10%の戦力底上げで勝てる」と断言。実際に「ゼロ補強」で迎えた就任1年目でリーグ優勝に導いた。

 ただ、新庄監督は就任会見で「優勝は目指さない」と言った後、こうも話している。

「高い目標を持ちすぎると選手というのはうまくいかない。一日一日、地道な練習を積み重ねて、何げない試合、何げない一日を過ごして勝ちました、勝った勝ったでそれで9月あたりに優勝争いをしていたら」

 現実問題として日本ハムは3年連続5位と低迷。昨オフに西川遥輝大田泰示といった主力クラスを放出したものの、これといった補強を行っていない。日本ハムOBが言う。

「結果的に優勝するに越したことはないが、今のチームでは簡単には勝てないことは新庄監督が一番わかっている。だからこそ、選手やスタッフには『今年一年を使って、トライアウトをやる』と明言。昨季のチーム得点数はリーグワーストで、失点数は同4位。主力が抜けた中、『ノーヒットで1点を取る野球』『守り勝つ野球』をテーマに掲げ、既成概念を取り払ってチームの底上げに励んでいる。試合では3アウト目でも外野手が全力で内野手に返球し続けているのもその一つ。野手には失敗覚悟で未経験のポジションを任せたり、『3球でチェンジになってもいいから、ファーストストライクを積極的に打て』と促している。『ケガをするのはプロではない』『腐ったりチンタラする選手は即二軍』と厳しさも前面に押し出しながら、個々の選手の能力を引き出そうとしているのです」

 新庄監督と落合氏は常識にとらわれず、周りに何を言われようが自分自身の信念を貫こうとする点では、共通していると言っていい。現役時代から“オレ流”と言われた落合氏は「監督だから好きなことやっていいんじゃないですか。今までなかったことをやろうとしているわけでしょ。それに関して、とやかく言うことはないでしょ。要はシーズン終わっての結果がどうか、その評価だけ。それまでは、球団がストップかけない限りはやりたいようにやればいい」とも言っていた。

 日本ハムが今年優勝できるかどうかはともかく、ビッグボス流で結果を残し、オレ流をうならせることができるか。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 野球のアクセスランキング

  1. 1

    大山悠輔が“巨人を蹴った”本当の理由…東京で新居探し説、阪神に抱くトラウマ、条件格差があっても残留のまさか

  2. 2

    ヤクルト村上宗隆と巨人岡本和真 メジャーはどちらを高く評価する? 識者、米スカウトが占う「リアルな数字」

  3. 3

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  4. 4

    巨人・岡本和真の意中は名門ヤンキース…来オフのメジャー挑戦へ「1年残留代」込みの年俸大幅増

  5. 5

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  1. 6

    西武激震!「松井監督休養、渡辺GM現場復帰」の舞台裏 開幕前から両者には“亀裂”が生じていた

  2. 7

    阪神・大山悠輔「5年20億円」超破格厚遇が招く不幸…これで活躍できなきゃ孤立無援の崖っぷち

  3. 8

    ポストシーズンの分配金が示す光と陰…一般職員の年収は約5万ドルで平均未満、“やりがい搾取”の一面も

  4. 9

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  5. 10

    《門田博光の巻》「打撃の求道者」は練習方法もケタ外れだった…僕が地獄を見た“10分”の要求

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    立花孝志氏はパチプロ時代の正義感どこへ…兵庫県知事選を巡る公選法違反疑惑で“キワモノ”扱い

  2. 2

    タラレバ吉高の髪型人気で…“永野ヘア女子”急増の珍現象

  3. 3

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  4. 4

    中山美穂さんの死を悼む声続々…ワインをこよなく愛し培われた“酒人脈” 隣席パーティーに“飛び入り参加”も

  5. 5

    《#兵庫県恥ずかしい》斎藤元彦知事を巡り地方議員らが出しゃばり…本人不在の"暴走"に県民うんざり

  1. 6

    シーズン中“2度目の現役ドラフト”実施に現実味…トライアウトは形骸化し今年限りで廃止案

  2. 7

    兵庫県・斎藤元彦知事を待つ12.25百条委…「パー券押し売り」疑惑と「情報漏洩」問題でいよいよ窮地に

  3. 8

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 9

    大量にスタッフ辞め…長渕剛「10万人富士山ライブ」の後始末

  5. 10

    立花孝志氏の立件あるか?兵庫県知事選での斎藤元彦氏応援は「公選法違反の恐れアリ」と総務相答弁