御嶽海の「原点」を2人の歴代指導者が語る 勝負根性と驚異の身体能力、バック転すら軽々

公開日: 更新日:

「人一倍、気迫のある相撲を取りたい。絶対に誰にも負けたくないという思いが出てくる」

 大関昇進確実の御嶽海(29)が、24日の一夜明け会見で持ち前の「負けん気」を口にした。

 1月場所を13勝2敗で制して、自身3度目の優勝。大関昇進目安の「三役で3場所33勝」を達成し、昇進を諮る臨時理事会の招集も決まった。長野県勢としては江戸時代の雷電以来、227年ぶりの大関輩出となる。

■「高安関? 僕も強くなってる」

 会見では「フランクな大関でいきたい」と、口も滑らか。千秋楽で横綱照ノ富士を破って優勝を決めた直後のインタビューでは「正面からしっかり当たって、あとは動いて、動き切れば自分が勝てると思った」と言ってのけた。続けて、ファンに向け「みなさん注目していてください!」と堂々と宣言。気が強く、ともすればビッグマウスと言われることも多々あった。かつて高安が大関に昇進した当時、日刊ゲンダイが御嶽海に質問すると、「高安関?……でも、僕も強くなってますよ」と口をとがらせて言っていたものである。

 母校、長野・木曽青峰高校で当時相撲部監督を務めた恩師の尾羽林英樹氏は「当時から、あまり変わっていないですね」と、こう続ける。

「明るいムードメーカー。気も強かった。ここ一番での集中力があり、試合でも彼の相撲は安心して見ていられました。団体戦など、『ここで勝たないと』という場面では必ず勝つんですよ。ただ、ちょっと調子に乗っちゃうところはありましたね(笑い)。それが良いところでもあるんですが……。高校の頃はプロは考えてなかったようです。当時、『将来は相撲に携わる仕事をしたい』と話していたのを覚えています。高校在学中にも相撲部屋から勧誘があったのですが、すでに東洋大への進学が決まっていたのでお断りしました。仮に大学進学が決まってなかったら? 当時はまだプロでやる自信がなかったようなので、お断りしたかもしれませんね」

中学最後の大会で敗れ大泣き

 高校時代は国体3位と結果を残しながら、大学に進学。東洋大4年時に学生横綱とアマチュア横綱の2冠に輝いた。

 しかし、少年時代はあまり感情を表に出す性格ではなかったという。木曽町立福島中学校相撲部の顧問を務めた安藤均氏が言う。

「中学時代は、勝ってうれしいとか負けて悔しいとか、一喜一憂しない子でした。淡々と相撲を取っていた印象です。北信越大会では優勝候補でありながら、同じ長野県出身の力士に2回負けて、全国都道府県大会では今の北勝富士関に敗れた際もそう。そこまで悔しがってはいなかった。それが3年時、最後の大会となる中学選手権でベスト8に終わると、もう大泣きですよ。今まで結果をあまり気にしていなかった感じだっただけに、私の方がびっくりしたくらいです」

 尾羽林氏も安藤氏も「とにかく身体能力は凄かった」と口を揃える。バスケットボールをやればポイントゲッター。陸上競技も短距離走や幅跳びにその才を見せつけていた。バック転すら軽々とできたという。

■巨漢相手に「試す相撲」を取った度胸に感服

 プロでは格下相手に取りこぼしてしまったり、大関昇進のかかった場所で2度成績が振るわないなど、メンタル面に課題ありとも言われてきたが、前出の安藤氏は「そんなことはないでしょう」と言う。

「東洋大1年の時、関取(御嶽海)が出る国体を見に行ったんです。ベスト8で負けてしまったのですが、相手は120キロくらいあった関取よりさらに大きい巨漢力士。当時は押し相撲一本だったので、立ち合いで当たってからどうするか……なんて私は考えていた。ところが、です。いきなり2本差しにいったのだから驚いた。結果的に力及ばずで、周囲からも『なんで突き押しでいかないんだ?』となじられていましたが、でも、私はこの大事な一番であえて『試す相撲』を取った度胸に感服した。本番でなければ試せないということもありますから」

 稽古不足も御嶽海の代名詞。間垣親方(横綱白鵬)はじめ、多くの親方から「もっと稽古をした方がいい」と苦言を呈されている。

「『1日100番取れば絶対優勝できる』と裏付けがあれば、やるでしょう。でも、現実的にそんなものはない。体も大きいのでオーバーワークはケガの恐れもある。大相撲は結果を出すも出さないも自分次第。きちんと考えた上で、自分に合った稽古をしていると思いますよ」(安藤氏)

 横綱照ノ富士は両ヒザのバクダンに悩まされ、正代貴景勝の2大関は存在感が皆無。「新大関御嶽海」にかかる期待は大きい。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    阿武町誤送金の7割「3500万円返還」で浮上した新たな謎…決済代行業者にも疑惑の目が

    阿武町誤送金の7割「3500万円返還」で浮上した新たな謎…決済代行業者にも疑惑の目が

  2. 2
    重病説のプーチン大統領が6.12「ロシアの日」に作戦終了か…後継候補に36歳の“危険な男”

    重病説のプーチン大統領が6.12「ロシアの日」に作戦終了か…後継候補に36歳の“危険な男”

  3. 3
    投手大谷が「1イニング4奪三振」を記録する日…エンゼルス捕手の拙守は改善されず

    投手大谷が「1イニング4奪三振」を記録する日…エンゼルス捕手の拙守は改善されず

  4. 4
    日テレ「スッキリ」加藤浩次の後任にヒロミ説…“チグハグな火曜日”のやり取りは見もの

    日テレ「スッキリ」加藤浩次の後任にヒロミ説…“チグハグな火曜日”のやり取りは見もの

  5. 5
    ロシア軍は戦力“ジリ貧”で停戦渇望か 交渉団代表「対話を続ける用意」発言の意味深

    ロシア軍は戦力“ジリ貧”で停戦渇望か 交渉団代表「対話を続ける用意」発言の意味深

もっと見る

  1. 6
    プーチン大統領「老兵&障害者」まで戦場投入の非情…ロシアの兵士不足が深刻に

    プーチン大統領「老兵&障害者」まで戦場投入の非情…ロシアの兵士不足が深刻に

  2. 7
    大谷翔平は本塁打王争いに出遅れも…同僚の打撃タイトル争いで“漁夫の利”期待

    大谷翔平は本塁打王争いに出遅れも…同僚の打撃タイトル争いで“漁夫の利”期待

  3. 8
    キムタクと交際の噂があった“かおりん”直撃 9年近い交際

    キムタクと交際の噂があった“かおりん”直撃 9年近い交際

  4. 9
    「誤送金問題」決済代行業者が異例の早さで返還したワケと気になる田口容疑者の今後

    「誤送金問題」決済代行業者が異例の早さで返還したワケと気になる田口容疑者の今後

  5. 10
    4000機が眠る「飛行機の墓場」…米アリゾナ州の砂漠に設置、このあとの運命は?

    4000機が眠る「飛行機の墓場」…米アリゾナ州の砂漠に設置、このあとの運命は?