日本スポーツ界はやっぱり“政府の犬” JOC山下会長「北京五輪ボイコット」めぐる発言で再露呈
■国に従うだけ
米五輪委員会の最高経営責任者は、今年5月、中国の人権問題に懸念を示しながらも連邦議会に書簡を送り、北京五輪のボイコットに反対する立場を早々に伝えている。「政府に全てを委ねる」とも取れる山下会長の発言とはあまりに対照的だ。
山下氏が会長を務めるJOCが設立されたのは1980年モスクワ五輪のボイコットがきっかけだった。米国がアフガニスタンに侵攻する旧ソ連に抗議するため当時の西側諸国にボイコットを呼びかけ日本も追随。政治に翻弄された多くのアスリートは心に大きな傷を負った。山下会長もそのひとりだった。
JOCは悲劇を繰り返さないため、日本体育協会(現・日本スポーツ協会)から独立し、選手強化費など、独自で財源を確保し、政府の言いなりにならない独立した組織を目指した。しかし、理想とは程遠く、今年の東京五輪にしても、金27個を含む計58個という史上最多のメダルを獲得した裏では、直近の3年間だけでも毎年100億円超の強化費が競技団体などにつぎ込まれている。気前よく巨額の公金を出してくれる政府は、JOCの最大のタニマチといっても過言ではない。