ビーチサッカーW杯銀メダルへの軌跡…初戦の大逆転劇でチームの強さを実感

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ビーチサッカー日本代表・オズ監督&田畑コーチを直撃(上)

 サッカーが世界で最もポピュラーなスポーツであることに異論をはさむ人はいないだろう。

 長らく「サッカー不毛の地」と呼ばれた日本も1993年のJリーグ開幕、1998年のW杯(フランス大会)初出場、そして2002年の日韓共同開催W杯の成功もあって、サッカー人気が根付いていった。

 しかし、砂の上で戦う「ビーチサッカー」はどうか? 日本国内の認知度は、まだまだ低いと言わざるを得ない。全国リーグもなく、どうしても知名度を上げるには、2年の1度のペースで開催されるW杯で成功することが大事となる。

 これまで「ベスト4がW杯最高位」だったビーチサッカー日本代表が、8月にロシアで開催されたW杯で偉業を達成した。 初めて決勝に進出してファイナリストの称号を手にし、決勝ではホスト国のロシアに敗れたとはいえ、堂々の銀メダリストとして凱旋帰国したのである。

 チームをグイッとけん引したのが「監督」「選手」「主将」「背番号10」の<一人4役>をこなした茂怜羅(もれいら)オズ(35)。そして前回2019年パラグアイW杯後に現役を引退し、コーチとしてオズ監督と二人三脚で日本代表のレベルアップに腐心している田畑輝樹(42)だ。

 2人に激闘の連続だったロシアW杯を振り返ってもらいながら、日本ビーチサッカーの現状、課題点、今後の未来像などをオンライン取材を通して語ってもらった。

 ◇  ◇  ◇

 ーーW杯グループリーグの初戦・パラグアイ戦では第2ピリオド序盤で0-3という展開でした。

オズ「試合の入りは良かったのですが、チャンスにゴールを決められなかった。ファウルも多く、FKで失点してしまった。でも、選手たちの「勝ちたいという強い気持ち」は消えなかった。試合途中にピヴォ(FW)を2人投入して<積極的にゴールを狙う>戦術変更も上手くいった。必ず勝てるという自信がありました」

田畑「0-3でも(守備を)崩されての失点ではありませんでしたし、気にはしませんでした。戦術変更はチームとして柔軟に対応できました。ベンチで常に試合の流れを見ていたのですが、相手の足が止まり始めた頃合いを見計らって(足技の上手な)GK河合(雄介=33)の投入も上手くいきました。選手は失点しても下を向かず、悪い流れでもブレない強さを見せてくれました」

 ーーピヴォ2人投入など練習でもやっていなかった形と聞きました。

オズ「やったことはなかったけど、第2ピリオドを1-3で終え、逆転するための時間は、最後の第3ピリオドの12分しかない。勝つために決断しました」

田畑「ピヴォの3人(山内悠誠=36、奥山正憲=35、赤熊卓弥=31)はロシア入り後も好調を維持していましたし、上手くいって本当に良かったと思います」

 ーーパラグアイ戦7-3の大逆転劇は、2戦目のアメリカ戦を迎えるに当たり、どの程度プラスに作用しましたか?

オズ「パラグアイ戦の翌日に『毎試合を逆転で勝つのは難しい。先制してリードした状況で日本のペースで試合を進めよう』と選手には話しました。先制されてしまいましたが、初戦の逆転勝ちで<チームの総合的な強さ>を実感していたので不安はありませんでした」

田畑「パラグアイ戦の逆転勝利は、もちろんプラスに作用しましたが、油断してはいけないーーと選手には伝えました。彼らは気を緩めずに戦ってくれました」

 ーーオズ監督がチーム2点目を決めました。

オズ「上里(琢文=31)が(相手ボールを)インターセプト。GKと2対1となりました。2対1とか3対1の局面練習はずっとやっていましたし、上里から良いパスが来たので<あとは自分がきっちり決めるだけ>でした」

田畑「ゴールを決めないといけない存在であるオズがしっかりと決めてくれ、チームに安心をもたらしてくれました」

 ーー3戦目の相手は地元のロシア。日本はGL突破決定済み。ロシアは勝たないと突破できない状況でした。結果は大勢の地元サポーターの前で1-7の完敗となりました。

オズ「試合前に『勝ってGLを1位で通過しよう』と選手には伝えました。でも、まさか第1ピリオド8分で0-3とは……。それでも完全アウェーの中、どんなに点差が広がっても選手はしっかりと戦い、強い気持ちを感じました。私は試合をしながら『日本代表はメダルを獲得できる』と確信しました」

田畑「大差を付けられましたが、チーム全体は崩れていなかった。敗戦後の気持ちの切り替えも出来ましたし、勝ち進んで決勝でロシアと対戦して借りを返そう! という気持ちで意思統一できました。チームの成長を実感しました」(つづく)

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