元川悦子
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元川悦子サッカージャーナリスト

1967年7月14日生まれ。長野県松本市出身。業界紙、夕刊紙を経て94年にフリーランス。著作に「U―22」「黄金世代―99年ワールドユース準優勝と日本サッカーの10年 (SJ sports)」「「いじらない」育て方~親とコーチが語る遠藤保仁」「僕らがサッカーボーイズだった頃2 プロサッカー選手のジュニア時代」など。

【皇居周辺&お台場】メダル続出の柔道会場周辺の静寂、アスリートを間近で見られるお台場の熱気

公開日: 更新日:

皇居&お台場

7月の4連休が終わって26日からは通常モード。

 東京五輪開催期間の真っ只中ではあるが、千代田区のオフィス街にある日本武道館(柔道会場)と港区のベイエリアにあるお台場海浜公園(トライアスロン・オープンウォータースイミング会場)や潮風公園(ビーチバレーボール会場)などとは、同じ都内の会場地でも雰囲気がまるで違う。

 コロナ禍の五輪ということで、賛否両論も依然として渦巻いているが、エリアによっても「温度差」が色濃く感じられる。

 高藤直寿(パーク24)に始まり、阿部一二三(パーク24)・詩(日体大)兄妹や五輪2連覇の大野将平(旭化成)など6つの金メダルを獲得している日本柔道。

 彼らが今大会のメダルラッシュを牽引している状態で、さぞかし会場周辺も盛り上がっていると思われた。しかし、大野の準決勝・準決勝が行われた26日夕方、武道館に近い地下鉄・九段下駅周辺は普段通りの風景だった。

 警察官やボランティアの姿は目立ったが、道を急ぐビジネスマンや散歩中の地元住民は、五輪に無関心という印象を受けた。

 田安門をくぐると「この先は関係者のみとなります」とのアナウンスが。 残念そうに記念撮影だけして引き返す五輪ファンの姿もあった。

 筆者も過去に1万人単位の外国ミュージシャンのコンサートに来場したことがあるが、その時の熱気や興奮とはかけ離れている。セキュリティーの奥で大野が奮闘しているとは思えない静寂が恨めしかった。

 ※  ※  ※

 一夜明けて27日の早朝。東京には台風8号が接近し、雨が降ったり、止んだりの悪天候に見舞われていた。

 それでも、この日は早朝6時30分から女子トライアスロンがお台場で行われた。公園内のスイムは中に入れないが、一般道を走るバイクとランは生で見られる。

 無観客の都内では、唯一の競技観戦機会。眠い目をこすりながら、気力を振り絞って現地に向かった。

 強風で乱れやすいゆりかもめを避け、東京臨海高速鉄道(りんかい線)を選択。東京テレポート駅に午前6時20分に到着し、屋根のある歩道橋を歩いてフジテレビ方向へ。そこから道路に下りると凄まじい大雨と強風。いきなりビショ濡れになった。

 台場交差点のマクドナルド前に急ぐと、すでに大勢の人々がスタートを待っている。

「どうしても五輪が見たくて始発で来た」と言う千葉在住の中年女性は、完璧な雨対策を取っている。

「小学生の息子に五輪を見せたくて強引に連れてきた」と話す近隣男性もいた。

 開始時間が15分遅れて午前6時45分にスイムがスタートしたと知り、雨が弱まった午前7時過ぎから沿道で選手を待った。

 すると猛スピードのバイクの一団が続々とやってくる。

「メチャメチャ速い」「鍛えられた体が凄くキレイ」といった感想もチラホラ聞こえてくる。

「観戦自粛」の看板を持つスタッフも選手に目を奪われていた

 トライアスロンの別名は「鉄人レース」。今回もスイム1.5km、バイク40km(コースを8周)、ラン10km(同3周)という過酷なルールの中で頂点を目指すのだ。

 競技者は、自らを限界まで追い込まなければ高みに上り詰めることはできない。彼女たちの美しい肉体は、その証なのだと痛感させられた。

 54分前後と言われるバイクの時間は瞬く間に過ぎ、最後のランへ。トップで通過したのはダフィ(バミューダ諸島)。2位はザファーズ、3位はテーラーブラウン(ともに英国)。日本の高橋侑子(富士通)は8位の好位置に付けた。  

 もう1人の岸本新菜(福井県スポーツ協会・稲毛インター)が途中棄権したこともあって、「侑子ちゃん頑張って」「高橋選手ファイト」と高橋への声援はひと際、大きくなった。

 最終的にダフィが優勝し、高橋は18位に終わったが、沿道の熱気と応援をアスリートは、心強く感じたのではないか。

 コロナ禍突入以降、箱根駅伝や各マラソン大会が行われるたび、沿道応援が問題視されてきた。コロナ対策という観点では、確かに密回避は重要だ。しかも今の東京は緊急事態宣言下。やはり自粛は必要なのだろう。

 ただ一方で、人々の応援が選手の力になるのも事実だし、沿道に集まる側が見たい気持ちを抑えるのは難しい。この日も「観戦自粛」の看板を持ったスタッフや警官があちこちに点在していたが、彼らも選手の一挙手一投足に目を奪われていたほど。

 いかにバランスを取るかは難しい問題なのだ。

「東京五輪は人生で1回。生観戦できるのは今日しかないと思って来た。トップ選手の走りが見れて本当によかった。一生の財産になります」と、都内在住の男性3人組も笑顔を見せていた。

 8月7・8日の札幌のマラソン開催時に、いかにしてコロナ対策と沿道応援の両立させるのか。運営側の頭の痛い日々は続きそうだ。

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