埼玉県ふじみ野市 散弾立てこもり男 住民が直面した恐怖の瞬間
「パンッ、パンッ」
2022年1月27日午後9時ごろ、埼玉県ふじみ野市の住宅街で銃声が鳴り響いた。
「痛い、痛い、痛い」
胸のあたりからあふれ出る血を手で押さえながら、地べたに這いつくばるようにして玄関先から逃げ惑う理学療法士の男性。
傍らにいる女性看護師が、「誰か救急車を呼んでください」と大声で叫ぶ。目の前の住宅に住む30代男性は銃声を聞き、2階ベランダから立てこもり犯、渡辺宏容疑者(66)の自宅をのぞき込むと、渡辺容疑者が散弾銃を手に呆然と立ち尽くしていたという。
男性から救急車を呼ぶよう頼まれた妻は、消防と警察に通報。「犯人は銃を持っています」と伝えると、「絶対に外に出ないでください」と指示された。
■すべてが母親中心の生活
通報した30代の女性が事件を振り返る。
「1カ月に1回ほど、お医者さんがお母さん(92)の往診に来ているのを見掛けました。いつもきちんと挨拶してくれる礼儀正しい方で、遅い時は夜の8時や9時に来られることもありました。その夜は先生はじめ、理学療法士や看護師さんら大勢だったので、何があったのだろうかと思っていました。そうしたら事件が起きたのです。うちには子供が2人いて、本当に怖かった」