著者のコラム一覧
保阪正康作家

1939年、北海道生まれ。同志社大卒。編集者を経て「死なう団事件」でデビュー。「昭和天皇」など著書多数。2004年、一連の昭和史研究で菊池寛賞。本連載「日本史 縦横無尽」が『「裏切りの近現代史」で読み解く 歴史が暗転するとき』(講談社)として好評発売中。

Mが田中角栄から感じとった「こんな戦争で死んでたまるか」という心理

公開日: 更新日:
満州国とモンゴル人民共和国(外蒙古)の国境係争地であるノモンハンでの戦闘で、ソ連軍が遺棄した戦車の側を匍匐前進する日本軍兵士(1939=昭和14=年7月)/(C)共同通信社

 合法的に軍内から抜け出す方法について、Mは声を潜めて語った。私はこの時まで、さらにそれ以降もこのような方法を詳細に語ったケースはほとんど聞いたことがない。それだけに衝撃を受けつつ、今も記憶の底に焼き付けられている。

 Mは「誤解を受けると困るが、このような方法を田中の角さ…

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