適菜収
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適菜収作家

近著に「安倍晋三の正体」「ニッポンを蝕む全体主義」「思想の免疫力」(評論家・中野剛志氏との対談)など、著書50冊以上。「適菜収のメールマガジン」も発行。本紙連載を書籍化した「それでもバカとは戦え」も好評発売中

「河野太郎」がいまだに総理候補…悪い冗談としか思えない

公開日: 更新日:

 中学生のとき、同じクラスにNという女子がいた。美術の授業で生徒たちが自画像を描いたとき、Nの絵はクラス中から注目を浴びた。そこには水玉模様の背景と一緒に絶世の美少女が描かれていたからだ。

 現実世界に存在するNと一致する要素は一カ所もなかったが、おそらく河野太郎の目にも自分がイケメンに映っているのだろう。とにかく自分が大好き。チヤホヤされると満面の笑みを浮かべ、少しでも批判されるとプンプン怒る。国民の声を聞くのが仕事なのに、ツイッターではブロックしまくり。記者からの都合の悪い質問は「次の質問どうぞ」で完全無視。そんな河野が目指すのは「国民の皆さまの声、党員の皆さまの声に耳を傾け、しっかりと受け止める」政治とのこと(「河野太郎公式サイト」2021年9月28日)。

 小学生の頃には同じクラスに怒ると顔が真っ赤になって「ウーン」とうなりながら、鉛筆を2つに折るやつがいた。私は子供心に「幼いな」と思ったが、河野を見るたびに彼を思い出す。

 外相時代には、外相用の専用機を買ってくれとダダをこね、行政改革担当相時代にはスタンドプレーを繰り返し、新型コロナウイルスのワクチン接種の現場を混乱させた。

 デジタル相になっても性格は変わらない。河野は十分なセキュリティー対策に取り組んでいるとマイナンバーカードの安全性を繰り返し強調してきたが、他人の住民票が誤って交付されたり、他人の顔写真を載せたカードが交付されたりと、トラブルが続出。誤交付の件については責任をシステムの開発元である富士通に押し付け、交付サービスを一時停止し点検すると言いながら、「要請に強制力はなく、停止するかどうかは、自治体の判断だ」と責任を丸投げした。

 河野は記者会見で、今年3月末までにマイナンバーカードを「ほぼ全国民」に取得してもらうとした政府目標は達成できたと表明(3月31日)。とりあえず私はカードを取得していない。河野がいう「国民」とは「俺のいうことをきく人間」に過ぎないのだろう。

 21年の自民党総裁選に河野が出馬した際には、「調整力においても優れているのではないかと自負している」と自画自賛。調整力がないことが問題になってきたにもかかわらず。こんな人間が総理候補って悪い冗談としか思えない。


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