ウクライナ侵攻から1年…「勝利」を約束しないプーチン大統領の危うい精神状態
「プーチンの戦争」が火蓋を切ってから24日でとうとう1年となった。ウクライナの首都キーウを3日間で攻略し、全土を3週間で掌握する作戦は大失敗。戦闘が泥沼化する中、際立つのが、ロシアのプーチン大統領の精神状態の危うさだ。戦死した兵士の母親の前で「死」を連発したり、死生観をこじらせている。
戦況悪化からズルズル延期し、2021年4月以来となった21日の年次教書演説でプーチン氏は、戦争を始めたのは西側だとして、「我々は終わらせるために武力行使している」「ロシア国境付近に秘密の生物研究所をつくっている」などと主張。「被害者はロシアだ」という根拠の乏しい持論を繰り返し、「戦場でロシアに勝つのは不可能だ」と訴えた。
筑波大名誉教授の中村逸郎氏(ロシア政治)はこう言う。
「プーチン氏は教書演説で一度たりとも『勝利』という言葉を使いませんでした。特別軍事作戦は成功するのか、一体いつまで続くのか。国民が最も知りたがっていることには何一つ触れなかった。プーチン氏自身、不安や焦燥に駆られるばかりで、何をすれば打開できるか分からなくなっているのでしょう。世論との距離が開き、孤立を深めているのがうかがえます。米国のバイデン大統領のキーウ電撃訪問を受け、英BBCのモスクワ支局は〈プーチン大統領は演説内容をより過激に書き換えているだろう〉と報じていましたが、拍子抜けの内容だった。米国の揺さぶりに対抗する気力すら残っていないようです」