ロシア軍また総司令官交代の異常事態…“戦犯”ゲラシモフ任命に透けるポスト・プーチン争い
ロシアのウクライナ侵攻開始から間もなく11カ月。クレムリンで不穏な動きだ。ショイグ国防相がロシア軍のゲラシモフ参謀総長を「特別軍事作戦」の総司令官に任命。昨年10月に着任した航空宇宙軍のスロビキン氏は降格し、副司令官の一人になった。国防省は「遂行すべき任務の範囲が拡大したことに対応し、部隊間の緊密な協力などを進めるため」と説明しているが、ロシア軍の苦境はアリアリだ。
開戦以降、総司令官の交代は少なくとも3人目。この3カ月で2度目となる上、制服組トップを据える異常事態だ。しかも、ゲラシモフは楽観論をバラまき、プーチン大統領を追い込んでいる意味でも戦犯の一人だ。
SNSで内部告発を続ける「SVR(対外情報庁)将軍」の書き込みによると、昨年4月下旬にオンラインで行われた安全保障会議で、プーチン大統領からウクライナ東部のドネツク、ルガンスク両州の完全掌握を改めて指示されたゲラシモフは命令履行を約束。数カ月後にウクライナ南部とモルドバ全体を支配下に置く構想を示し、「モルドバはウクライナのような抵抗はできない。いいボーナスになる」「時間はかかるが、ウクライナ南部のニコラエフ州やオデッサ州の占領でも大きな成果が得られよう」と話したという。