「被害者救済法」の本質的な無理(2)露骨な政教分離違反にならないか
旧統一教会の「被害者」を救済する立法の政府案の骨子が示された。「寄付の不当な勧誘の防止に関する新法」についてである。
それは、信者に借金をさせたり、土地・建物を売ってまで寄付することを「要求」する行為を禁止することで、事実上の「上限規制」を設ける方向だという。
この規定に違反する勧誘を行い、同法に基づく勧告や命令に従わない場合には懲役を含む刑罰が科されるそうである。
さらに、信者の家族が「寄付のせいで扶養してもらえなくなった」として、民法上の債権者代位権に基づき、その寄付を取り消せるとしている。
旧統一教会2世の告白記者会見以来、わが国では、「旧統一教会赦すまじ」という空気が横溢しているように見える。そのような世論を前にして、与野党は、同教会を規制する政策を実現しないと支持率が下がるとばかりに論争を進めている。
野党側の提案がいささか乱暴であることは既に本コラム前稿で指摘した。そして、今回の与党案もやはり乱暴なものではないか。