この連載の第1回は翁長雄志氏の言葉で始まった。だから最終回も沖縄で終わりたい
ウクライナ東部からロシアが侵攻を始めて9カ月以上となる。この状況を伝える報道に問題はないか? それを考えるシンポジウムが11月1日にあり私も参加した。会場からも質問が次々に出る活発なやりとりに主催団体からも「やって良かった」との言葉が聞かれた。
しかし数日後、その主催団体のメンバーの一人が私を名指しして「ウクライナ関係でいいかげんなことを吹聴した」と中傷する内容を周囲に送っていた。シンポジウムで私が語ったのは根拠が明確でない国際報道の問題点であって、知りもしないウクライナの状況についてではない。
悪質な流言だが、そのメンバーは通信社で国際報道に従事していた元記者ということだ。それに私は驚かない。国際報道には、そうした根拠不明な内容を報じるケースが散見されるというのがシンポジウムでの私の発言の趣旨だった。例えばウクライナ発の情報であればゼレンスキー大統領のSNS上の発言以外は、現地の報道や欧米の報道に依拠することが多い。それをあたかも自社が確認した内容のように報じる点に危険がある。それゆえ、情報源の明示が重要になるということを指摘したものだ。さきの米中間選挙でも「トランプ派善戦」といった報道の混乱が見られるが、確認していない現地報道に依拠する粗さに原因を見る。