ロシア国内で横行する「動員逃れ狩り」の惨状…狙いは“反プーチン”取り締まりか
「プーチンの戦争」に否定的な市民を排除
血眼になって兵士をカキ集めているのは、それだけ劣勢を強いられているからなのか。筑波大名誉教授の中村逸郎氏(ロシア政治)がこう言う。
「招集された兵士がロクに訓練も受けないまま戦地に送られる現状を踏まえると、恐らく、当局は劣勢を覆す戦力は期待していません。『動員逃れ=反戦者』と見なして片っ端から連行していくことで、国内の反戦・厭戦ムードを抑える目的だと考えられます。ロシア国内では列車や飛行機での移動、ホテルの宿泊、病院での診察など、あらゆる場面で、個人情報をまとめたIDカードの提示を求められます。顔認証システムも発達しているので、誰がどこで何をしているか逐一把握できるネットワークが構築されています。私もロシア警察に呼び止められ、顔認証されたことがありました。そうしたネットワークを使って『プーチンの戦争』に否定的な市民を排除すると同時に、監視力の強化を図っているのでしょう」
まるで、イギリスの作家ジョージ・オーウェルの代表作「1984」の世界だ。ますますディストピア然としてきた。