ノーベル平和賞も「反プーチン」の面々が受賞…ロシア内外でいよいよ狭まる包囲網
混迷を極めるウクライナ侵略を巡り、バイデン米大統領が「キューバ危機以来、われわれは初めて核兵器使用の直接の脅威に直面している」と牽制を強めた直後、例年以上に政治性の強いノーベル平和賞の授与が決まった。
プーチン大統領が70歳の誕生日を迎えた日本時間7日、受賞が発表されたのはベラルーシの人権活動家アレシ・ビャリャツキ氏(60)、ロシアの人権団体「メモリアル」、ウクライナの人権団体「市民自由センター(CCL)」。そろって旧ソ連構成国、反プーチンの面々だ。
ビャリャツキ氏はベラルーシにおける反政権派の象徴的存在。逮捕歴は25回超に上る。「欧州最後の独裁者」と呼ばれるルカシェンコ大統領が権限強化の改憲を実施した1996年に人権団体「ビャスナ(春)」を創設し、反体制派などを支援。ルカシェンコ6選を巡る抗議デモが広がると、再び拘束され、裁判を受けることなく収監され続けている。筑波大名誉教授の中村逸郎氏(ロシア政治)はこう言う。
「メモリアルは法廷闘争の末に昨年解散させられた非合法団体。CCLは知る人ぞ知る団体で著名ではありません。プーチン大統領は同じスラブ民族であるロシア、ベラルーシ、ウクライナを結束させた連合国家を築き、その頂点に立とうとしている。ノーベル委員会の選考はプーチン構想への対抗があらわで、プーチン支配にあらがう民主的活動を後押しするというメッセージです。実際、ロシアにあるのはプーチンの人権だけですから」