小林節
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小林節慶応大名誉教授

1949年生まれ。都立新宿高を経て慶大法学部卒。法学博士、弁護士。米ハーバード大法科大学院の客員研究員などを経て慶大教授。現在は名誉教授。「朝まで生テレビ!」などに出演。憲法、英米法の論客として知られる。14年の安保関連法制の国会審議の際、衆院憲法調査査会で「集団的自衛権の行使は違憲」と発言し、その後の国民的な反対運動の象徴的存在となる。「白熱講義! 日本国憲法改正」など著書多数。新著は竹田恒泰氏との共著「憲法の真髄」(ベスト新著) 5月27日新刊発売「『人権』がわからない政治家たち」(日刊現代・講談社 1430円)

「国葬は行政権の内」ではない 岸田首相は三権分立を理解していない

公開日: 更新日:

 国家は、主権者国民大衆の日々の幸福を維持・増進させるためのサービス機関である。

 そこで、例えば飲酒運転事故、コロナ禍など大衆の幸福を脅かす事象に対して、まず国会(立法府)が、公開審議を経て有効な対策を法律と予算という形で制定する。それを受けて、内閣(行政府)が全国一律に公平にその法律と予算を執行して国民生活の向上に努力する。その執行過程で政策の不足や欠点が発見されたら、内閣はその点を国会にフィードバックする。その上で、個別に法律に違反する飲酒運転、補助金不正受給など事件が発生したら、それに責任を取らせて法状況を回復させるのが最高裁以下の司法府の仕事である。

 これが、日本国憲法が定める三権分立の構造である。

 これを「国葬」という課題に当てはめてみると、次のようになる。

 私たちが国家という共同生活を送っている以上、国家すなわち主権者国民大衆の幸福の増進に多大な貢献をした偉人の死を、国葬という最高の儀礼で追悼することは、他の民主国家の例を引くまでもなく、あってよい。それは、政治の発展ひいては主権者国民の幸福の増進に資するものである。

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