世襲議員の率直な本音に疑問…民主制の否定・階級制に気づいていない
かつて世襲議員の妻で、今は世襲議員の母である女性が、議員の世襲について語った本音が報道された。それは、大要、次のものである。①子供が本当に国政の場で働くつもりでいるのなら、親を見て育っているのだから、(政治と)全く関係のない(家庭出身の)人物よりも、(政治家に)ふさわしい。②(親の)「後継者」というのでなく、「国会議員にふさわしいか」を有権者から認めてもらうのだから、「世襲」というだけで単純に批判はできないのではないか。
誠に率直な本音である。
世襲議員批判については、常に次のような反論が返ってくる。(1)政治家の家で育っているので政治に習熟している。(2)「世襲」議員にも人権としての参政権(被選挙権)がある。(3)選挙により有権者(主権者)から選任された以上、正当な存在である。(4)それでも世襲議員を批判することは、出生による「差別」である。
しかし、これは正しい反論ではない。
世襲議員が批判される理由は次のものである。
<a>世襲候補は、先代から地盤・看板・鞄を無条件で相続できるため、他の新人と比べて苦労せず当選できてしまう。地盤は強固な後援会組織で、看板は候補者の家名の知名度の高さで、鞄は潤沢な選挙資金である。これが、候補者の能力にかかわらず自動的に当選させてしまう「差別選挙」を可能にしている。