片岡健
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片岡健ノンフィクションライター

出版社リミアンドテッド代表。著作に、「平成監獄面会記」、同書が塚原洋一氏によりコミカライズされた「「マンガ 獄中面会物語」」(共に笠倉出版社)など。

相模原 知的障害者施設殺傷事件「自分の生命を犠牲にしてでも、やらないといけないと思った」

公開日: 更新日:

植松聖死刑囚

 2016年7月26日未明、相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」に侵入した元職員の植松聖死刑囚(32)は、入所者たちに次々と刃物を突き立てた。最終的に入所者19人が死亡、ほかにも職員2人と入所者24人が重軽傷を負う惨事となった。

  ◇  ◇  ◇

「障害者に生きる価値はない」

 6年前の夏、犯行後に警察署に出頭した植松死刑囚は、こんな供述をしていると一部で報じられた。警察車両で連行中に大笑いする姿も繰り返しテレビのニュースで流され、「障害者を差別する大量殺人犯」として社会に印象づけられた。

 私が植松死刑囚と初めて会ったのは、それから1年余りが過ぎた2017年秋のこと。横浜拘置支所で裁判が始まるのを待つ身だった。

「遠いところをありがとうございます」

 面会室に現れた植松死刑囚はそう言って、深々とお辞儀した。その礼儀正しさに少し驚いた。逮捕時は金色だった髪も伸びて黒くなり、見た目も真面目そうになっていた。

 連行中に大笑いした理由をただすと、こう答えた。

「マスコミの人波が突撃してきたためです。笑ってはいけないと思っていたのですが」

 ──「障害者に生きる価値はない」と言っているそうですが?

「障害者というより、意思の疎通をとれない方々は安楽死させるべきだと思います」

 ──なぜ、そう思う?

「世界には、戦争で苦しんでいる方々や泥水のようなものを飲んで生きている方々がいます。意思の疎通がとれない方々が社会から奪っている物資や食糧、マンパワーは、そういう人たちに回すべきです」

 そう語る表情は真剣だった。

「死刑になるのは覚悟のうえでの犯行だったのですか?」とただすと、「その通りです」と即答し、こう言い切った。

「自分の生命を犠牲にしてでも、やらないといけないと思ったんです」

 植松死刑囚は「自分は正しい」と本気で信じているようだった。

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