安倍元首相暗殺の謎 卑劣な蛮行の背景と混迷政局の今後(上)
急遽決まった遊説での悲劇と計画性の有無
安倍は8日の遊説を当初、長野で行う予定だったが、自民候補のスキャンダルが報じられたこともあり、取りやめた。それで、維新候補に追い上げられている奈良に急遽、遊説先を変更した経緯があった。
安倍の奈良入りは7日午後に決まり、同日夕から自民候補のSNSや街宣車で告知された。
奈良市在住の山上は7日夕方以降に安倍の来県を知り、犯行を思いついたのか。遊説先が変更されていなければ、悲劇は起きなかったのだろうか。
他方、奈良県警が8日、山上の自宅を家宅捜索したところ、爆発のおそれがあるものが複数押収され、自宅のパソコンには武器の製造に関するサイトを閲覧していた履歴が残っていたという。急に思いついたのではなく、計画性もうかがわせるのだ。
元兵庫県警刑事で作家の飛松五男氏が言う。
「爆発物は簡単に作れるものではありません。長い時間をかけて周到に用意された計画的な犯行との印象です。参院選の投票日直前を狙ったと思われます。犯行を計画する中で8日に安倍氏が来県したのでしょう」
山上は取り押さえられる際、逃げようともせず、観念している。
「捕まるのは覚悟の上の確信犯と言えます。安倍氏への強い恨みが読み取れます。動機や犯行の準備プロセスは今後の供述で明らかになっていくでしょうが、一番注目しているのは単独犯かどうかです。これだけの犯行を果たして山上容疑者一人でできるのか疑問です。バックに組織があるのかがポイントだと思います」(飛松五男氏=前出)
謎の多い事件である。
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