小川泰平
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小川泰平犯罪ジャーナリスト

1961年、愛媛県生まれ。80年、神奈川県警察官を拝命。所轄の盗犯係、警察本部機動捜査隊、捜査第三課、国際捜査課等の刑事として30年間捜査に携わる。警察本部長賞など受賞歴500回以上。テレビなどで事件の解説のほか、講演・執筆活動を行う。近著に「ニッポンの刑事たち」(講談社)。

小倉美咲さん行方不明事件 道志村で発見された雨ざらしの靴の状態の良さに疑問

公開日: 更新日:

山梨県道志村 小倉美咲さん行方不明事件

 2019年9月に当時小学1年の小倉美咲さん(千葉県成田市)が行方不明になった。それから2年7カ月後の今年4月23日、美咲さんの捜索ボランティアの40代男性が、キャンプ場から600メートル離れた山中で頭蓋骨の一部を発見した。

  ◇  ◇  ◇

 頭蓋骨は最初に行われたDNA鑑定では特定できなかったが、ミトコンドリアDNA型鑑定を行った結果、「美咲さんの母方と血縁関係にあることに矛盾がない」と判明。その後に見つかった肩甲骨、右肩、右前腕、左すねの骨がDNA型鑑定で、美咲さん本人のものと特定され、5月31日には新たに4つの人骨が見つかった。

 行方不明になったのは19年9月21日。美咲さんは、母親と姉とともに友人の家族らと道志村のキャンプ場を訪れていた。山梨県警は当時、16日間(1600~1700人態勢)の捜索を行っていた。私は19年の行方不明当時から、9回現場を訪れたが、山中で1日100人平均の捜索では厳しい。地方の警察で2週間以上の捜索をするのは異例だし、今回の再捜索も1カ月以上行っている。それでも見つけるのは難しいのだ。

 警察は現在も事件、事故どちらの線でも捜査しているのだろうが、個人的には事故の可能性が強いと思う。キャンプ場付近は足場が悪く、石や岩でゴツゴツしていた。滑落するリスクは高い。

「最後に見たのは、目の前の道を左に曲がって端の方に向かった姿です」(美咲さんの母親)

 発見現場まで移動することについて、「(美咲さんの履いていた)普通の靴では歩くのは無理ではないか」(美咲さんの母親)と話した。

第一発見者の証言も解決に導く可能性を秘める

 もし第三者による事件に巻き込まれたなら、キャンプ場から600メートル離れた山中に遺体を遺棄するのはリスクが伴う。それでも事件の線を拭えない理由も、個人的に2点ある。警察発表によれば、美咲さんのものとみられる靴と靴下が数メートル離れた場所で見つかったという。数メートルとは「10メートルは離れていない」ということ。行方不明となった場所から流されたとしたら、バラバラになった遺留品が偶然近い場所で見つかるのは不自然とはいえる。

 また、現場にあった靴の写真については「(美咲さんのものと)同じメーカー、同じ色。ピンクのうさぎちゃんの靴下です」と答えた。

 2年7カ月、雨ざらしだったはずなのに状態がきれいなのは疑問だし、警察も「それほど劣化していない」と公表している。それであればどこかに保管されていた可能性も考えられる。

 第一発見者の40代ボランティアはメディアの取材を受けていないが、この男性の証言も解決に導く可能性を秘めている。

 警察は捜索をいつ打ち切るか分からない。真相が判明する日が待たれる。 

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