小林節
著者のコラム一覧
小林節慶応大名誉教授

1949年生まれ。都立新宿高を経て慶大法学部卒。法学博士、弁護士。米ハーバード大法科大学院の客員研究員などを経て慶大教授。現在は名誉教授。「朝まで生テレビ!」などに出演。憲法、英米法の論客として知られる。14年の安保関連法制の国会審議の際、衆院憲法調査査会で「集団的自衛権の行使は違憲」と発言し、その後の国民的な反対運動の象徴的存在となる。「白熱講義! 日本国憲法改正」など著書多数。新著は竹田恒泰氏との共著「憲法の真髄」(ベスト新著) 5月27日新刊発売「『人権』がわからない政治家たち」(日刊現代・講談社 1430円)

共産党・志位委員長の「自衛隊活用論」は党内で議論して整理すべきだ

公開日: 更新日:

 共産党の志位和夫委員長が、「日本が侵略を受けたら自衛隊を活用する」旨を語って、論争になっている。

 私自身は少なくとも7年前に公開の講演会で同旨の発言を聞き、それなりに納得できているが、なぜか、今回は集中砲火を浴びている。

 私の手元に、全国革新懇の2月28日の代表世話人会の議事録があり、志位発言は次のようになっている。

〈9条の下でも自衛権はある。自衛権は、国民の自然の(つまり、条文上の根拠の要らない=小林注記、以下同じ)権利で、不当な侵略を受けたら排除するためあらゆる手段を用いて頑張るというのは、9条の下でも当然認められるべきだと最初から言ってきた。(だから、当初は自衛権も放棄したように政府が説明した9条に共産党は反対した。だから)侵略を受けたら自衛隊も活用するというのも党の方針だ。9条は無抵抗主義でも自衛権の放棄でもないが、(2項が国際法上の戦争の手段としての「戦力」と「交戦権」を否定しているので)「常備軍」は禁止している。自衛権と常備軍はイコールではない。(自衛隊は警察予備隊として発足し、自衛隊法は諸国の軍法とは異なり、「警察比例の原則」が前提で、2項の故に専守防衛の原則もあり、軍隊というよりも、警察の能力を超えた侵害に対応する能力を備えた日本独自の特殊警察であろう)〉

 私は、この志位発言にはそれなりの説得力があると思う。その立場は、要するに9条の下で日本は「侵略者」になることは禁じられているが、だからといって「無抵抗で征服される者」になるいわれはない……という極めてまっとうなものである。

 しかし、各地の駅頭でロシアの侵略戦争に反対する街宣をしている護憲論者の主張は、「9条に基づいた平和外交」が中心で、今、現実にウクライナで武力を用いて抵抗している人々の努力と犠牲が、世界的な「自由民主主義対専制軍国主義」の構図をつくった現実を直視していないように見える。

 だから、共産党は今、党内で上述の志位発言について討議して理解を深めるべきで、正しい方向への変化をためらうことはない。



◆本コラム 待望の書籍化! 発売中
『人権』がわからない政治家たち」(日刊現代・講談社 1430円)

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

最新の政治・社会記事

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    カジノで106億円溶かした大王製紙前会長・井川意高氏の現在地「今は“抜けた”ような状態」

    カジノで106億円溶かした大王製紙前会長・井川意高氏の現在地「今は“抜けた”ような状態」

  2. 2
    小林浩美JLPGA会長はファン置き去り…「地上波中継なき」国内女子ツアーの行く末

    小林浩美JLPGA会長はファン置き去り…「地上波中継なき」国内女子ツアーの行く末

  3. 3
    「ビューティ・ペア」で一世を風靡 マキ上田さん「フジ社屋の天球は“ビューティ資金”でつくられたと」

    「ビューティ・ペア」で一世を風靡 マキ上田さん「フジ社屋の天球は“ビューティ資金”でつくられたと」

  4. 4
    「消費税減税なら年金3割カット」自民・茂木幹事長の“高齢者ドーカツ発言”に批判殺到

    「消費税減税なら年金3割カット」自民・茂木幹事長の“高齢者ドーカツ発言”に批判殺到

  5. 5
    ダチョウ倶楽部の「純烈」加入にファンから「それなら友井雄亮さんを復帰させて!」と悲鳴

    ダチョウ倶楽部の「純烈」加入にファンから「それなら友井雄亮さんを復帰させて!」と悲鳴

  1. 6
    小室圭さん間もなく「3回目受験」 NY州資格を持つ日本人弁護士が“合格”を確信するワケ

    小室圭さん間もなく「3回目受験」 NY州資格を持つ日本人弁護士が“合格”を確信するワケ

  2. 7
    阪神絶好調でAクラス射程圏も…悔やまれる序盤大コケの陰にフロントの“矢野低評価”

    阪神絶好調でAクラス射程圏も…悔やまれる序盤大コケの陰にフロントの“矢野低評価”

  3. 8
    古江彩佳に問われる「プロ意識」…全米女子OP予選落ちで“塩対応”どころか取材拒否

    古江彩佳に問われる「プロ意識」…全米女子OP予選落ちで“塩対応”どころか取材拒否

  4. 9
    巨人球団史上最速の自力V消滅で野手と投手に内紛の火種…打線奮起も投手すべて台無しに

    巨人球団史上最速の自力V消滅で野手と投手に内紛の火種…打線奮起も投手すべて台無しに

  5. 10
    宮沢りえも登場…「大王製紙」前会長・井川意高氏のアイドル豪遊記

    宮沢りえも登場…「大王製紙」前会長・井川意高氏のアイドル豪遊記