工藤会トップへの死刑判決について思うこと 犯罪の直接的な証拠はなかった
ちょっと古い話になるが、今年8月24日、北九州市の暴力団、工藤会のトップ野村悟被告に死刑判決が言い渡された。
この判決理由には、野村被告が犯罪を指示・命令したという目撃証言や受命証言、犯罪に使われた拳銃といった物証もなく、単に間接的な証言や状況証拠があるばかりだった。
ある人間が確実に殺ったという直接的な証拠なしに、その人間を極刑に宣していいものだろうか。常識的には、そんな判決が許されるなら冤罪を呼び込む、絶対避けるべきだ、となろう。
私もそう思う。被告が暴力団の首領だからといって、公正な裁判を受ける権利が否定されてはならない。法の下の平等は誰に対しても適用されるべきで、こんな判決が許されるなら、やがては宗教界や政界、革新運動などにも拡大され、戦前のような暗黒社会が再来することになる。