野党共闘競り負け こんな自民党政権が続く痛恨と絶望<上>

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首都圏は野党が一矢報いたが結局「絶対安定多数」のやりきれなさ

 31日に投開票が行われた衆院選は、何とも煮え切らない結果に終わった。自民党は議席を減らしたが、立憲民主党も公示前勢力を下回った。自民重鎮が選挙区で負けるなど小波乱はあったものの、結局は自民単独で「絶対安定多数」という結末をどう評価、分析するべきなのか。ハッキリしているのは、有権者が安倍・菅・岸田政権の継続を選んだことが、この国の未来に重くのしかかってくるという暗い現実だ。

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 開票前は、「自民党単独過半数割れ」も囁かれていたのに、終わってみれば自民党は、単独で過半数(233議席)どころか、17の常任委員会すべてで委員長を出したうえで、過半数の委員を確保できる「絶対安定多数」の261議席に達した。

 今後も、国会運営はラクラクだ。野党の声は無視され、最後は強行採決で何でも決めてしまう。国会審議は形骸化。おなじみの光景が繰り返されることになる。

「これでは選挙前と何も変わりません。政権交代が起きなくても、自民が単独過半数割れなら、これまでのような好き勝手はできなかった。与野党勢力が伯仲すれば議会に緊張感が生まれ、与党側もむちゃはできなくなります。せっかく悪辣自民の息の根を止めて、民主主義を取り戻すチャンスだったのに、国民はこれだけ悪政に虐げられても変化を望まないということでしょうか。安倍菅政権から続く独裁体制が維持される結果になり、やりきれません」(政治評論家・本澤二郎氏)

 野党は、首都圏など都市部では善戦して一矢報いたが、地方ではバタバタと競り負けた。接戦に持ち込んだ選挙区の多くであと一歩及ばず、与党候補に敗れてしまった。

「投票率が低いと、組織票で自公が有利なのは分かり切ったことです。投票権を行使しない有権者も不甲斐ないし、大メディアの責任も大きい。自民党内のイベントである総裁選では連日、大騒ぎしていたテレビも、国民にとって、もっと大事な衆院選の扱いは小さかった。政治の私物化やコロナ対策など、この4年間の自公政治への審判だと明確に問うこともしませんでした。狡猾な自民はさっそく追加公認で“カサ増し”し、数の力を頼んだ独裁体制を強化しにかかっています」(本澤二郎氏=前出)

 投票率は55・33%前後とみられ、前回2017年の53・68%をわずかに上回ったが、戦後3番目の低水準だった。

 有権者の関心の低さが、岸田自民の高揚感なき勝利につながった。

いくら居直っても議席減で問われる岸田の求心力

「衆議院選挙は、いつの選挙も政権選択選挙。与党で過半数が目的だということは、従来からも申し上げてきた。信任をいただいたと受け止めたい」

 勝利宣言でも岸田首相に笑顔はなかった。それも当然で、自民にとっても狐につままれたような勝ち方だったからだ。

「当日まで『自民苦戦』と報じられていたし、50議席減もあり得ると思っていた。なぜこれほど勝てたか分からない」(閣僚経験者)

 不人気の菅前首相から表紙を代えて選挙に臨んだものの、期待したご祝儀相場もなく、風も吹かず、野党共闘で激戦区が一気に増えた。低投票率に助けられた勝利だった。

 コロナ禍で多くの国民が苦しみ、政府の対応に不満を抱いても投票率が上がらなかったのは、政治不信が根強いことの表れでもある。それに、勝ったとはいえ議席を減らしたことには変わりない。果たして岸田自民は踏みとどまったと言えるのか。

 そもそも岸田は「選挙の顔」として弱い。演説にも有権者を引き付ける力がない。党内には不安が残り、総裁選から続く抗争の火種もくすぶったままだ。

 選挙を経て多少なりとも顔ぶれが入れ替わり、党内の権力構造に変化が生じる。甘利幹事長の選挙区落選で「3A」の一角が崩れたが、安倍元首相、麻生副総裁の顔色をうかがいながらの政権運営になれば、国民の支持も得られないだろう。

 参院選前に「岸田では戦えない」という声が上がり、岸田降ろしが起きてもおかしくない。

「この衆院選は岸田首相の力で勝ったわけではないので、選挙を経て求心力が高まったとは言えません。しかし、自民単独で絶対安定多数を確保したため、与野党の関係も、自民党内の政局も膠着状態でしょう。岸田首相は基本的に内閣と党執行部の布陣は替えないと言っているので、辞意を表明した幹事長だけは交代しても、現状維持でズルズル続いていく可能性が高い」(政治ジャーナリスト・山田厚俊氏)

 4年ぶりの衆院選でも自民党は変わらない。政治も変わらない。あまりに不毛だ。

どのツラ下げてTV出演? 甘利幹事長の赤っ恥

 総選挙の責任者がマサカの落選。

 口利きワイロ疑惑を抱えながらデカい顔でのさばってきた自民の甘利(神奈川13区)は「現職幹事長の落選」という結党以来の赤っ恥だ。さすがに岸田に辞意を伝えている。

 ロートル軍団「3A」の一角を占め、岸田政権誕生の立役者として厚かましく復権した甘利は、選挙戦序盤こそ、〈選挙期間中地元に入れるのは今日の2時間だけ。よってタスキをかけるのもこの2時間だけ。コスパの悪い選挙備品だね。でもその分、同志の応援に全国を走り抜けます〉と余裕のツイート。

 ところが、ラスト3日間は選挙区にベタ張り。ビールケースに乗って「私は未来を見通せる」「私がいなくなれば大変なことになる」と錯乱状態で叫び散らしていたのだから、情けない。

 投開票日も見苦しさを全開。テレビ各局をハシゴし、「国会議員って大きなビジョンで日本の未来を語るんですけど、私が個々に話す人には好感をもって受け止めていただくんですけど、それがみんなに伝わっていかない」などと持論を展開。

 大臣室で50万円の現ナマを受け取ったことが発覚後、睡眠障害を理由に国会を長期欠席したくせに、「不整脈を抱えていましたから。ストレスで不整脈が出るということで、医者からもですね、少し休んだ方がいいとアドバイスを受けておりました」と言いだす始末。錯乱状態から抜け出せないのか。

 政治ジャーナリストの角谷浩一氏は言う。

「政治とカネの問題を象徴するひとりである甘利幹事長の選挙区落選はインパクトが非常に大きい。安倍・菅政権の負の遺産をリセットできない岸田政権、独り善がりのオッサン政治に有権者もいい加減うんざりしたのでしょう」

 甘利はしぶとく比例復活したものの、国会にどのツラ下げて出てくるつもりか。

次は【いろいろ大メディアは書き立てるだろうが、野党共闘の成果はあった】

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