工藤会トップへの極刑判決の裏に「警察の潰されたメンツ」
工藤会(北九州市)の野村悟総裁、田上不美夫会長に対し、福岡地裁は求刑通り、それぞれ死刑、無期懲役を言い渡した。
全国の暴力団は等しく警察の包囲下にあるが、多くの暴力団が警察に降伏し、首を差し出す中で、工藤会の不服従と抵抗は「先進的」といいたくなるほど突出していた。
2010年前後、「ぽりすニュース」という主宰者不明のサイトが存在したが、これも工藤会が主宰していた。警察庁以下全国47都道府県警の不祥事ニュースばかりを、各地方紙などの記事を転載する形で掲載し、警察をおちょくる。アーカイブを備え、地域別、月別に過去のニュースも参照できた。
福岡県公安委員会は12年に工藤会を暴対法上の「特定危険指定暴力団」に指定したが、その際、工藤会は意見聴取の会場で次のように数字を示して反論した。
<警察庁が毎年発表している「暴力団情勢」によると、08年指定暴力団の組員に出た(暴対法違反の)中止命令は2018件である。この年の指定暴力団組員数は計3万8880人だから、組員1人当たり約0.0519件の中止命令が出された勘定になる。工藤会の組員数はこの年770人とされているから約40件中止命令が出されて当然だったが、実際に出された件数は12件だった。