オレオレ詐欺はダメだけど特殊詐欺はよいという暴力団の“倫理観”
前回、暴力団のアングラ化について記したが、では、暴力団の看板で商売しないはずの秘密組員たちは、どういうシノギで飯を食っていくのか。
その組に、まだ警察がフロントとして把握していない企業があるなら、とりあえずそこに社員として放り込む手がある。フロント企業を持たない組はどうするのか。
当人あるいは先輩組員が企業や組織を持っているなら、そこを活用する。業種は一般に「正業」と見なされやすい建築下請け、不動産、運送、解体、産廃運搬・処理、マチ金、風俗、飲食、ゲーム店などが多いようだが、新しい秘密組員たちはそこに在籍してシノギを学び、組織を伸ばしていく。
こうした業種は「暴力団の資金源になる」という理由で警察の取り締まりを食うことが少ない。しかし、今回、話を聞いた組長によれば、逆に危険が多そうな覚醒剤の密売なども秘密組員たちにやらせるそうだ。
「シャブの密売はたしかにヤクザのシノギの代表で、そんなものをポッと出の秘密組員がこなせるかと思うだろうけど、大丈夫。先輩の組員さえつけておけば簡単に商売を覚える。だいたい昔から『代紋でやる商売じゃない』といわれているぐらいで、客さえつけばヤクザでなくたってできる」(組長)