鹿児島県・馬毛島の自衛隊新基地計画 誘致加速の地元で渦巻くリアルは…

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 鹿児島県西之表市の西方12キロメートルの海上に浮かぶ無人島、馬毛島(まげしま)。ここに誘致される自衛隊新基地建設の地ならしがまた一歩進んだ。
 
 6月23日、西之表市議会(定数14)で早期の基地建設を求める2つの意見書が賛成7反対6(議長をのぞく)で採択したのだ。
 
 3つの自治体で構成される種子島では西之表市に先行して中種子町、南種子町が自衛隊関連施設の誘致を求める意見書を全会一致で可決していた。馬毛島に自衛隊基地ができれば隊員用宿泊施設など関連施設の整備が近隣の町でも必要になってくるからだ。
 
 馬毛島に建設される滑走路や関連施設は米軍の陸上空母離着陸訓練(FCLP)を実施するためのもの。そのため夜間訓練飛行による騒音被害、基地建設による環境破壊を懸念して種子島では反対の声が根強かった。

 今年1月31日に投開票があった西之表市長選でも、馬毛島の新基地建設は最重要争点であった。

 結果は反対派の八板俊輔氏が自民党鹿児島県連が推薦する福井清信氏を僅差で破り再選。しかし同日実施された市議会議員選挙では賛成派と反対派の数は拮抗することになった。そのため、市長と議会でねじれが生じた。

 新基地建設をめぐる状況について「馬毛島への米軍施設に反対する市民・団体連絡会」の三宅公人会長は次のように説明する。

「5月に防衛省は騒音を検証するためとしてデモ飛行を実施しました。しかし、実際の機体とは違うし、FCLPと同じ内容の訓練でもなかった。騒音を過小に見せるためのゴマカシでした。いい加減なことをするな、ちゃんとやれと指摘した自衛隊OBの元市議もいたほどです。でもこの結果を受けて、意見書に賛成した“中立派”の市議がいました」

市長は「基地誘致反対」で当選

 連絡会はこれまでも防衛省・自衛隊の説明責任の不十分さを追及してきている。

「意見書採択で勢いづいたのか、市長リコールの署名運動を始めると言った推進派もいましたが、市長は基地誘致に反対と言って選挙に出て当選しているですから無理筋な話です」(三宅氏)

 カジノを含むIR(統合型リゾート施設)誘致は白紙だと言って市長に当選しながら、突如、IR誘致を宣言、市民から怒りのリコール署名を突きつけられてしまった横浜市の林文子市長とは事情が違う。

 自衛隊基地建設を推進しているのは自公政権だが、種子島が含まれる鹿児島4区には自民の実力者がいる。7月2日に党国対委員長の在任期間が歴代最長1420日となった森山裕衆院議員だ。1月の基地容認市長選候補者擁立でも森山議員が動いている。

「今秋には実施される総選挙に森山さんも出馬する見込みです。さすがに総選挙の争点は馬毛島1点にはならないでしょうが、なんらかの形で民意を問わないといけない。オール鹿児島の野党候補は西之表市の得票数だけでも森山さんに勝とうと言っています」と三宅氏は語る。
 
 秋の総選挙では国政課題に限らず地元の政策も、実際には争点として問われるのだろう。

(取材・文=平井康嗣/日刊ゲンダイ)

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