小林節
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小林節慶応大名誉教授

1949年生まれ。都立新宿高を経て慶大法学部卒。法学博士、弁護士。米ハーバード大法科大学院のロ客員研究員などを経て慶大教授。現在は名誉教授。「朝まで生テレビ!」などに出演。憲法、英米法の論客として知られる。14年の安保関連法制の国会審議の際、衆院憲法調査査会で「集団的自衛権の行使は違憲」と発言し、その後の国民的な反対運動の象徴的存在となる。「白熱講義! 日本国憲法改正」など著書多数。新著は竹田恒泰氏との共著「憲法の真髄」(ベスト新著) 5月27日新刊発売「『人権』がわからない政治家たち」(日刊現代・講談社 1430円)

枝野代表には説明責任がある<下>共産と連立すると「国会が止まる」のか?

公開日: 更新日:

 18日、立憲民主党の枝野代表は、ラジオ番組で、「(共産は)『天皇制や自衛隊や日米安保は棚上げする』と言っているが、(共産と連立した)政権はすぐ倒れる」「(共産が)『党の考えを(連立)内閣に持ち込まない』と言っても、そんな言行不一致はないと、野党自民党はとことんやる。国会は全機能が止まる」と語った。これが、次の総選挙で共産党の協力を得て政権を奪取しても同党を閣内に入れない実際の理由のようである。

*「小林節が斬る!特別編」を【動画】でご覧いただけます。

 しかし、野党自民党が何をできるのか? まず、予算委員会で、共産党の閣僚に対して、「天皇制」「自衛隊」「日米安保」に対する個人的見解と内閣の方針の違いを浮き上がらせようとするだろう。それに対して、共産党の大臣が次のように答えることは今から分かっている。①天皇制については、明治憲法下の「国権の総攬者」たる天皇と現憲法下の「主権者国民の総意に基づく象徴天皇」は別異のものと認識しており、それは、現内閣の方針というよりも日本国の方針であるはずだ。②自衛隊と日米安保については、そのようなものが不要な世界の到来を日本国憲法も共産党も理想として求めてはいるが、それは、今は無理で将来の国際情勢とその時の主権者国民が決めるものと心得ている。

 これに対して、自民党が、「納得できない」と言って、審議を拒否したり参議院の過半数で問責決議を乱発したところで、世論は同調するだろうか? 世論が同調しないサボタージュをして野党自民党が得をすることなどない。だから、老練な自民党がそんな理由で国会の全機能を止めようとするはずもない。

 となると、聡明な弁護士でもあり既にベテランの域に達した政治家の枝野氏が何を言いたいのか? 私には全く腑に落ちない。

 今はっきりしていることは、枝野氏が「総選挙に勝利するために共産党の選挙協力は得たいが、その結果、勝利して政権を奪取しても共産党は入閣させない」という意思を持っていることだけである。しかし、同氏は、こんな失礼なことを公言して実のある選挙協力が得られると思っているのであろうか?

 枝野氏はもう少し勉強すべきであるが、共産党も少しおとなしすぎるのではないか。


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