新国家公安委員長に棚橋氏起用の茶番 菅首相から麻生財務相への「ゴマスリ人事」
現職閣僚が横浜市長選出馬のため辞任という異例の事態を受け、25日、後任の国家公安委員長に、自民党の棚橋泰文元科学技術担当相(58=衆院岐阜2区・当選8回・麻生派)が就任した。
22日に小此木前委員長が市長選出馬を明言しても後任候補の名前はなかなか挙がらず、国家公安委員長は来月開幕の東京五輪の警備責任者だけに、もはや同ポスト経験者から探すしかないのではとみられていた。フタを開けてみれば2004年の小泉内閣時以来という“再入閣待機組”に白羽の矢が立った。
■「同期の桜」をまた優遇
菅首相は棚橋氏の起用について「科学技術などの担当相として尽力し、党行政改革推進本部長としてデジタル化や規制改革にしっかり取り組んだ経験を重要視した」と説明したが、それは表向き。毎度の「同期の桜」優遇と総裁再選狙いの思惑が透けて見えるのだ。
「棚橋氏は1996年衆院初当選で、菅首相と当選同期。昨秋の総裁選では菅陣営の選対幹部も務めた。内閣と党執行部には首相の同期がズラリで、そこにもう一人加わった。さらに、棚橋氏が麻生派というのが肝。菅首相が自らの総理総裁続投を意識し、麻生財務相に配慮した人事でしょう。特に棚橋氏は麻生派の事務総長ながら、派閥を渡り歩いて同派に流れ着いた新参者。派閥の中枢ではない人物が閣僚に起用されるのは、『麻生派に入れば大臣になれる』というメッセージになるので、領袖にとって喜ばしいことなのです」(政界関係者)