文化庁「芸術院にメス」は学術会議“骨抜き”への足掛かり
菅政権がまたぞろ怪しい動きだ。「透明化」の掛け声の下、芸術家の殿堂と呼ばれる「日本芸術院」にメスを入れる。任命拒否問題で対立を深める日本学術会議の骨抜きに向け、足掛かりにする思惑はミエミエだ。
芸術院の新会員選考のあり方などを検討している文化庁の有識者会議は12日、外部の意見も反映される見直し案を大筋了承した。現役会員推薦と会員投票が前提となる現行の選挙方式を改め、外部有識者による「推薦委員会」を新設。外部推薦と会員推薦の候補者を「選考委員会」で絞り込み、会員投票で決定する仕組みとなる見通しだ。
それにしても、100年超の歴史を誇る国の機関を変える動きはハイペースだ。発端は昨年11月の国会審議。学術会議問題を巡り、芸術院にも「閉鎖的」「既得権」などと批判が向かうと、萩生田文科相は今年1月に有識者会議を立ち上げ、半年足らずで改革案をまとめるスピード決着だ。
■“官邸のスパイ”の意のまま
「芸術院の会員は非常勤の国家公務員扱いで、毎年250万円の年金が支給される終身制。実質手弁当で活動する学術会議の会員と比べ“上級国民”のように映り、政権にすれば手を付けやすい。文科省の外局である文化庁の特別機関なのも好都合だった。文科省トップは“官邸のスパイ”と呼ばれ、定年延長を3回も重ねた藤原誠次官。昨年の一斉休校を二つ返事で引き受けたほど、官邸の意のままに動く。野党の国会質問は渡りに船でした」(霞が関関係者)