高橋洋一氏は参与に、学術会議は拒否…菅首相の人選基準は
<世界の中で日本の状況を客観的に分析するのがモットーなので、それに支障が出るような価値観を含む用語は使わないようにします>
国内の新型コロナウイルス感染状況を<さざ波>とツイッターに投稿。批判が集まったことを受け、11日に改めてツイッター上でこう釈明した内閣官房参与の高橋洋一嘉悦大教授(65)。「客観的に分析する」のはともかくとして、なぜ、末尾に<笑笑>という言葉を付け加えたのか。国内の死亡者数が1万人を超える中、あまりに不謹慎だし、非常識と指摘せざるを得ないだろう。
重要なのは高橋氏が首相に対して直接、意見を言ったり、情報提供や助言を行ったりする内閣官房参与だということだ。高橋氏の発言について、加藤官房長官は11日の会見で「参与は非常勤。コメントは差し控えたい」とはぐらかしていたが、一国のトップのブレーン的な役割を担う人物は単なる一民間人とは違うだろう。
菅首相は一体どんな基準で高橋氏を参与に任命したのか。振り返れば菅首相は総理大臣就任早々、日本学術会議が推薦した会員候補6人の任命を拒否。国会で野党議員から、その理由を問われると、「総合的・俯瞰的」「多様性が大事だということを念頭に判断」と繰り返していた。高橋氏は元財務官僚だが、過去には窃盗容疑で書類送検された経歴もある。単純比較はできないものの、菅首相が任命拒否した学術会員候補6人の方が、よっぽど社会的な信用性はあるのではないか。
結局、菅首相の人選基準の認識は曖昧、いい加減だということ。学術会議会員の任命を拒否した理由の「総合的・俯瞰的」「多様性」は後付けの屁理屈だということが、今回の件であらためてハッキリしたと言っていい。