現ナマ受領事件の吉川氏 歳費・ボーナスで433万円受け取る
鶏卵生産大手「アキタフーズ」の元代表から現ナマを受け取った疑惑を巡り、22日に議員辞職した吉川貴盛元農相(70)。疑惑が発覚した今月2日以降、体調不良を理由に公の場に姿を現していないが、歳費も冬のボーナスもちゃっかり受領。「税金ドロボー」のそしりは免れない。
吉川氏は現在、慢性心不全などで入院中。東京地検特捜部が吉川氏を任意聴取していたことが23日判明した。
吉川氏は農相を務めた2018年10月~19年9月、元代表から3回にわたり計500万円を受け取った疑い。現金の一部は大臣室でやりとりされたというが、吉川氏は疑惑が発覚して以降、周囲に「不覚を取った」などと話し、賄賂性を否定していたという。
許し難いのは、辞職するまでの間、歳費もボーナスもしっかり受け取っていることだ。
国会議員の今年の冬のボーナスは約310万円。歳費は改正国会議員歳費法によって2割削減され、現在は月103万5200円。議員辞職した場合、歳費は日割り計算に基づき支払われるため、吉川氏への今月の歳費は73万4600円。加えて、文書通信交通滞在費(月100万円)の半分が10日に支払われている。吉川氏は疑惑発覚後、ロクに説明もしないまま、ざっと433万4600円も手にしているのだ。
吉川氏について菅首相は23日、「心臓が悪くて手術され、国会議員として責務を果たすことができない。そういうことで辞職したい(ということだ)」とかばっていた。
■自民党の「悪しき前例」踏襲
しかし、体調不良だからといって、疑惑が明らかになってから20日間もダンマリのまま、歳費やボーナスをガメていい理由にはならない。
「コロナ禍で貧困にあえいでいる国民もいるのに、賄賂疑惑の説明もせずに血税をかすめ取っていくなんて悪質極まりない。体調不良で議員辞職したとの言い分は額面通りに受け取れないし、逃げ切りも許されません。自民党には甘利明衆院議員が大臣室で現金を受け取っても不問に付された『悪しき前例』があり、公職選挙法違反で公判中の河井夫妻やIR汚職で逮捕された秋元司衆院議員もいまだに辞職せず、歳費をもらい続けています。国民をないがしろにして問題議員が私腹を肥やすとは、『官尊民卑』もここに極まれりです」(政治評論家の本澤二郎氏)
国民はもっと、この手の税金ドロボーに怒った方がいい。