学術会議任命拒否問題 今度は準備してから嘘をつくのか?
10月のNHK報道番組では、「問われない」約束だと思っていたせいか、学術会議会員の任命拒否について問われたら、怒って回答を拒否した菅首相であるが、12月4日の記者会見では、むしろ笑顔で明解に自説を開陳した。
いわく、①内閣法制局の了解を得た政府の一貫した考え方は、必ずしも(同会議からの)推薦通り任命しなければならないわけではない。②日本に研究者は90万人いるが、学術会議に入れるのは会員210人と連携会員2000人だけで、彼らの推薦がなければ新しい人が入れない現実がある。既得権益、悪しき前例主義を打破したい。③そういう観点から自ら判断した。
しかし、①かつての「戦争法」(平和安全法制?)騒動の際に、「憲法9条の下では海外派兵は禁じられている。つまり、改憲せずに海外派兵はできない」という歴代自民党政権の「一貫した」見解を守っていた法制局の長官を更迭して強引に解釈変更を行わせた安倍政権の官房長官が、今、法制局の「了解を得た」とは、驚かせないでほしい。しかも、学術会議の推薦を拒否できるという立場が「政府の一貫した考え方」だとは、真っ赤な嘘である。憲法23条(学問の自由)の下で、学術会議は、一般職の公務員とは別建ての特別法で人事の自律性が保障されている……というのが、政府の一貫した立場である。②既得権益と悪しき先例主義を言うならば、世襲議員、政党助成金、記者クラブ等、目の前に真性の悪しき既得権益があるではないか。しかも、以上は、問われているあの6人を拒否した理由を何も語っていない。③こんな判断しかできないのなら、政治家としての資質が問われて当然である。