郷原信郎
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郷原信郎弁護士

元東京地検特捜部検事。1955年、島根県生まれ。東大理学部卒。83年検事任官。「告発の正義」(ちくま新書)、「虚構の法治国家」(講談社)など著書多数。

「甘利事件」の制裁なしが自民党議員の倫理観を弛緩させた

公開日: 更新日:

 鶏卵生産・販売大手「アキタフーズ」の元代表が自民党衆院議員の吉川貴盛元農林水産相に、大臣在任中の2018~19年に3回にわたって現金計500万円を提供した疑いが報じられたのに続いて、西川公也元農水大臣も、数百万円を受領していた疑いが報じられている。鶏卵業界からの現金のばらまきで、自民党農水族が丸ごと汚染されている疑いすらある。

 この「大臣室で現金授受」の話で思い出すのは、16年1月に、当時、経済再生担当大臣だった甘利明氏が、「都市再生機構(UR)」の土地売却をめぐって、大臣室で、業者から、URとの補償交渉についての相談や依頼を受けて対応し、その場で現金を受領したと報じられた問題だ。

 甘利氏が自らと秘書の金銭受領を認め、その直後に、UR側が、甘利事務所との12回にわたる接触を認めたことで、この件が「あっせん利得処罰法」などの犯罪に該当するのではないかが問題となった。私は、甘利氏をめぐる問題を、「絵に描いたようなあっせん利得」と表現した。甘利氏は、1月28日に行った記者会見で、大臣室での50万円を含め合計100万円の自らの現金受領と、秘書が500万円を受領したことを認めた上、大臣を辞任した。

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