杉田敦氏に聞く学術会議「任命拒否問題」と「学問の自由」
日本学術会議が推薦した会員候補6人を菅首相が拒否した問題をめぐり、2日から衆院予算委の質疑が始まった。菅首相は衆参の代表質問に続き、予算委でも明確な理由を説明せず、支離滅裂な答弁に終始したが、こうした中で広がり始めたのが「国費を投じられている団体なのだから政府方針に従うのは当然」「学術会議の存在自体が学問の自由を侵している」といった論評だ。だが、こうした指摘は当てはまるのか。学術会議が2017年3月に公表した「軍事的安全保障研究に関する声明」の検討委員会で委員長を務めた法政大学法学部の杉田敦教授に聞いた。
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――まず、あらためて今回の問題をどのようにとらえていますか。
学術会議は一般の行政機関などではなく、特別の設置法によって、独立して活動することが認められている機関です。文系から理系に至る幅広い分野の研究者が集まって議論し、提言するもので、海外でもこうしたアカデミーには政府からの高度の自律性が認められています。大学等と同様に「学問の自由」が何よりも保障されなければならない機関の一つです。