安倍首相の持病悪化が招いた肝心コロナ対策の“機能不全”
西村コロナ担当相「3兆円で対応できる」の愚
そんな「決められない政治」の象徴が、27日の参院内閣委員会での一幕だ。全国知事会が増額を求めている「地方創生臨時交付金」について、西村コロナ担当大臣は「すでに3兆円を配布しているので、かなりの部分に対応できると思っている」とノラリクラリ。続けて、次のように言い放ったのだ。
「いずれにしても、感染状況あるいは今後の経済状況を見ながら、国の施策で手の届かないところは交付金を活用し、地域の実情に応じて支援していただくことを期待している」
知事会は25日、47都道府県の交付金不足額が約5000億円に上るとの調査結果を発表済み。なのに、西村大臣はまるで他人事。知事会が増額を求めているのは、西村大臣の言う「地域の実情」に合わせ、中小企業支援や医療体制強化に動こうとしているにもかかわらずだ。交付金を出し渋るクセに「支援を期待」とは、いったいどの口が言うのか。
政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏がこう言う。
「地域によって感染状況も対策も異なる中で、『3兆円でよろしく』とは、それこそ地域の実情が分かっていない。地域住民の要望に沿った対策の打てる都道府県や市町村といった基礎自治体に、使途自由なお金と権限を渡すべきです。予備費10兆円を計上したのだから増額できるし、そもそも、地方創生を掲げているのだから、第1次、第2次予算に交付金として10兆円を計上してもよかったはず。あの東日本大震災の時、当時の民主党政権に『自治体に自由なカネを出せ』と詰め寄っていたのが何を隠そう、野党時代の自民党です」
地方が悲鳴を上げているのに安倍首相は国会閉会後から雲隠れ。今月初旬に健康不安説が浮上してから国のコロナ対策はずーっと停滞し続けている。
このコロナ禍に、中途半端な形で総理の座にしがみつかれても、国民はたまったものではない。