新型コロナで「安倍礼賛」は減速 国民の不満は風化しない
新型コロナウイルスは世界政治を大きく変えた。米国では11月に大統領選挙を迎えるが、新型コロナの感染拡大がなければ、トランプ政権はまれに見る高い経済成長を示し、失業率も低く抑えた政権として国民に評価され、民主党候補を大きく引き離していただろう。
だが、今や米国は莫大な感染者と死者を出し、経済は大きく後退。大量の失業者を出した。これを反映しているかのように、大統領選の世論調査では、民主党候補のバイデン前副大統領の支持率49・3%に対し、トランプ大統領は同41・6%となった。
この流れは日本にも起こっている。自民党の二階幹事長は3月、安倍首相の党総裁連続4選論について、「党内外や海外からの支援もあり、この状況では十分あり得る」と語っていた。しかし、新型コロナで状況は一変し、安倍政権の支持率は下がり続けている。世論調査で比較的高い支持率を出してきた読売新聞の8月調査でも、支持率37%に対し、不支持率は54%だ。
さらに安倍首相にとって衝撃だったのは、「次の首相には、誰がふさわしいか」との問いで、石破茂氏(24%)、小泉進次郎氏(16%)、河野太郎氏(13%)の後塵を拝していたことだろう(支持率は12%)。時事通信の調査でも同じ傾向の結果が出ている。