著者のコラム一覧
小林佳樹金融ジャーナリスト

銀行・証券・保険業界などの金融界を40年近く取材するベテラン記者。政界・官界・民間企業のトライアングルを取材の基盤にしている。神出鬼没が身上で、親密な政治家からは「服部半蔵」と呼ばれている。本人はアカデミックな「マクロ経済」を論じたいのだが、周囲から期待されているのはディープな「裏話」であることに悩んで40年が経過してしまった。アナリスト崩れである。

農林中金に突きつけられた組織改革…25年3月期の最終赤字は1兆5000億円超か

公開日: 更新日:

「農林中金という名前に恥ずべきようなことだと思っている。検証内容を尊重させていただき、農林中金に対してしっかり指導していきたい」

 1月28日、農水省の有識者会議の報告書を受け取った江藤拓大臣はこう語気を強めた。同会議は、農林中金が証券運用で巨額な損失を発生させた問題を巡り、その原因と再発防止策について、昨年秋から検討を進めてきた。江藤農相の「農林中金という名前に恥ずべきようなこと」発言は、あまりに重い。

 農林中金は米欧の金利上昇で外国債券の含み損が発生し、2025年3月期に1兆5000億円超の最終赤字になる見通しだ。会議では農林中金がメガバンクなど他の金融機関と比べ、なぜ多額の損失を計上するに至ったのか、リスク管理や意思決定のプロセスに焦点を当て、4回にわたり議論してきた。

 報告書では、まず外債の評価損が膨らみ続けたことを受け、迅速な意思決定ができる組織を構築するよう提案。一般企業の取締役会に当たる理事会に外部の有識者が非常勤の外部理事として参加できるようにするため農林中金法の見直しなどを提言したほか、組織全体で専門性の高い外部の見識を導入することなどを検討するよう促している。農林中金には「兼職制限」があり、外部から非常勤理事を採用することができないため、現在7人の理事はいずれも農林中金からの内部昇格となっている。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人阿部監督が見切り発車で田中将大に「ローテ当確」出した本当の理由とは???

  2. 2

    母・辻希美の光る危機管理センス…希空が大手芸能プロ入りしなかった“七光り批判”回避以外の大人の事情

  3. 3

    J1に異変!2連覇の神戸が開幕から5戦未勝利「3つの元凶」…選手間にはフロント幹部への不信感も広がる

  4. 4

    「石破降ろし」加速へ…10万円商品券配布バレ、深夜の公邸会見で記者にネチネチ逆質問の完全墓穴

  5. 5

    キャバクラ通い朝乃山 厳罰招いたウソと大関復帰の可能性

  1. 6

    コシノジュンコそっくり? NHK朝ドラ「カーネーション」で演じた川崎亜沙美は岸和田で母に

  2. 7

    ナベプロが新たな柱に社運をかけた状況で、ジュリーの立場は息苦しく…

  3. 8

    大阪万博パビリオン建設は“24時間体制”に…元請けの「3月中には完成させろ!」で危惧される突貫工事の過酷労働

  4. 9

    公共施設へのスターバックス出店に相次ぐ疑問…愛知県津島市では激安賃料への批判も

  5. 10

    大阪万博まで1カ月で異常事態! リングの盛り土ボロボロ削れ浸水被害の恐れ…識者は台風や高潮を危惧