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渡辺周Tansa 編集長

日本テレビを経て2000年に朝日新聞入社。17年にワセダクロニクル(現Tansa)を創刊、電通と共同通信の癒着を暴く「買われた記事」で、日本外国特派員協会「報道の自由推進賞」。寄付で運営し非営利独立を貫く。ご支援を! https://tansajp.org/information/10731/

コロナでまた犠牲に…大企業は非正規社員を切っても、自民党を切ることはない

公開日: 更新日:

非正規への追い込み30年(5)

 2008年のリーマン・ショックでは、「派遣切り」が横行した。トヨタの奥田碩が経団連の会長を務めていた04年、製造業への派遣労働が解禁されたことが響いた。

 09年に誕生した民主党政権は、翌年に労働者派遣法の改正法案を提出する。製造業への派遣と登録型派遣の禁止が目玉だ。登録型派遣とは、派遣会社に登録しておいて、派遣先で仕事がある時だけ雇用されるというものだ。

 だが野党となった自民党の反対に遭う。12年に成立した法改正では、製造業への派遣と登録型派遣の禁止が抜け落ちた。自民党が反対した理屈とはどういうものなのか。12年3月27日の参院厚生労働委員会で、衛藤晟一が述べている。

「製造メーカーに対するアンケート調査の結果によりますと、約7割のメーカーが製造業への労働者派遣の禁止により失業者が増加すると回答し、国内の製造業が衰退すると回答したメーカーが約6割、それから産業の空洞化が加速すると回答したメーカーが約5割います。特に中小企業では、人材確保に困難を来し、生産レベルの縮小や倒産に至る企業も増加することも懸念されています。製造業派遣を禁止するような措置を行えば、日本の製造業は沈没しかねない」

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