田中角栄が退陣、首相に就いた三木武夫が「企業献金禁止」を提唱するもトーンダウン
今年6月19日、政治資金規正法が改正された。野党が求めた企業・団体献金の禁止は盛り込まれなかった。だが首相の岸田文雄は2日後、記者会見で「これまで積み上げてきたさまざまな取り組みの大きなステップ」と言った。その自民党にかつて、企業献金の禁止を提唱した人物がいる。三木武夫だ。
三木は1937年に30歳で衆院議員に初当選した。戦前は米国との戦争に突入していくことに公然と反対した。戦後は協同民主党という政党に参画。労働者や零細事業者、農民らによる協同組合を活用する政治を実現しようとした。自民には55年の結党時から参加した。
しかし、自民は労働者や零細業者のための政党ではない。74年7月の参議院選挙では、資金提供と選挙運動を大企業グループに担わせる「企業ぐるみ選挙」を展開した。総理総裁の田中角栄が金権政治で世論から批判を浴びる。ジャーナリストの立花隆は文芸春秋で「田中金脈問題」を追及した。田中は74年12月に退陣した。
首相に就いたのが三木だ。「企業献金の禁止」を掲げていた。翌75年1月の国会での施政方針演説では次のように語っている。