中東から見たアジアの経済的優先度 日本は中国・韓国・インドに次ぐ4位…なぜ2年でトップから陥落?

公開日: 更新日:

 先月20日、サウジアラビアのムハンマド皇太子の来日する予定(延期中)が報じられた。2021年から22年にはドバイ万博、サッカーW杯がカタールで開催されたり、今年のパリ五輪のサッカーアジア予選も中東で行われた。日本にとっても身近になり、ビジネスにおいても注目されている。国際情勢YouTuberで「越境3.0チャンネル」を主宰する石田和靖氏は、登録者数が20万人を超え、主に中東アラブ圏の情報を発信している。石田氏は「中東における日本の評価は急落の一途」と指摘するが、どういうことなのか。著書『第三世界の主役「中東」 日本人が知らない本当の国際情勢』(ブックダム刊)から、一部抜粋・再編集で紹介する。

  ◇  ◇  ◇

 G7広島サミット2023の2週間後に、僕は広島でセミナーを開きました。50人くらいのお客さんが来てくださり、「G7は成功だったと思いますか?」 と質問をしてみました。圧倒的に多かったのは 「失敗だった」 という声です。ウクライナのゼレンスキー大統領を招待したというインパクトこそありましたが、みなさんの意見は、広島という核を落とされた街で開催されたのだからこそ、「平和を祈念する」という意思表明をしてほしかったというものでした。しかし、日本はG7の後を追従するように、戦争継続の道に賛同しているのが現状です。

 中東には親日の国が多く、その理由として故・田中角栄氏の功績があります。イスラエルとアラブ諸国が衝突した中東戦争が起きたとき、日本にはアメリカから「イスラエルを支援しろ」と要請がありました。しかし、時の首相であった田中角栄氏は断った。すでに日本はアラビア諸国から石油を輸入している関係にあったため、「イスラエルの応援をしたら石油が入ってこなく可能性がある。そうなった場合、アメリカは責任を取れるのか」 と突っぱねた。日本は中東戦争に加担せず、あくまで中立の立場を貫きその対応に中東諸国は信頼を置いたのです。

 こうしたことから、日本という国は、中東では一目置かれる存在でした。イランからもサウジアラビアからも信頼を持つ日本は、中国に代わって両国の国交を正常化するだけの力だって持っていた。しかし、アメリカに追従している合間に、中国にすべてを持っていかれてしまいました。この2年間で、中東での日本の評価は著しく低下しています。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • トピックスのアクセスランキング

  1. 1

    「麻生派でも裏金作り」毎日新聞スクープの衝撃!党政治刷新本部座長の派閥議員は国会で虚偽答弁か

  2. 2

    やす子が奮闘「24時間テレビ」で福祉車両贈呈 日産自動車の女性副社長が“カリスマ経営者の妻”とは!

  3. 3

    とうとう派閥に裏金発覚、自民総裁選を直撃!麻生太郎氏はキングメーカー争いから脱落確実

  4. 4

    麻生太郎氏に「10月政界引退説」 派閥の「裏金疑惑」拡大で窮地…気づけば孤立無援

  5. 5

    河野太郎氏の「解雇規制緩和」強気発言にSNS《自民党議員からクビに》のド正論

  1. 6

    小泉進次郎は「サラリーマンの敵」…解雇、労働時間の規制緩和ブチ上げで「企業の味方」ハッキリ

  2. 7

    献金1億円超は46年間で249社…企業・団体献金は3年で記録破棄の「もう1つの裏金」だ【表あり】

  3. 8

    小泉進次郎氏が出馬会見で「日本が衰退」連発どの口が? 当事者意識ゼロ、中身もスカスカ

  4. 9

    「鰻の成瀬」怒濤の急成長に既視感…「いきなり!ステーキ」「乃が美」の二の舞は大丈夫か?

  5. 10

    河野太郎デジタル相は強調も「データセンターのために原発必要」は世界の非常識…古賀茂明氏が喝破

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    中日「ポスト立浪」に浮上する“第3の男” 侍J井端弘和監督、井上一樹二軍監督の名前が挙がるが…

  2. 2

    あるのか西武「デストラーデ監督」…黄金時代の最強助っ人が“復帰”、就任条件もクリア

  3. 3

    女優・沢田雅美さん「渡鬼」降板報道の真相で「本が一冊書けてしまうかな(笑)」

  4. 4

    元欅坂46原田葵アナ大胆起用に透ける…フジテレビ「女子アナ王国」復権への思惑

  5. 5

    泉ピン子「毒舌」の原点とは…えなりくんを「ガキ」呼ばわり、渡鬼ファンも仰天の内幕を暴露!

  1. 6

    阪神岡田監督の焦りを盟友・掛布雅之氏がズバリ指摘…状態上がらぬ佐藤輝、大山、ゲラを呼び戻し

  2. 7

    楽天・田中将大は今や球団の「厄介者」…大幅負け越し&パワハラ関与疑惑に年俸2億円超ダウン

  3. 8

    巨人「助っ人野手の獲得下手」汚名返上できた納得の理由…今年はなぜ2人とも“当たり”?

  4. 9

    なにわ男子・長尾謙杜と交際か…フジテレビ原田葵アナ“におわせ”インスタの波紋

  5. 10

    楽天・田中将大に囁かれていた「移籍説」…実力も素行も問題視されるレジェンドの哀れ