退職者とつながる「アルムナイ」を企業が続々導入 人手不足解消だけではないその効用とは

公開日: 更新日:

マルハンは職場環境の整備で新規採用に光

 パチンコチェーンのマルハン(京都府)もアルムナイコミュニティーを構築する。

 実は2021年から社内カンパニー制を導入。各カンパニーを企業内のひとつの“会社”として運営した結果、それぞれの連携が悪化したため、つながりの重要性を痛感。社業の立て直しも喫緊の課題で、アルムナイコミュニティーの構築を迫られたという。

「弊社は、パチンコは斜陽産業だと認識し、生き残りには新規ビジネスの立ち上げが必要です。そうしたことを対外的にもハッキリと示して、行動を起こす必要がありました。そのため、マルハンイズムを身をもって体験し、理解しているアルムナイ人材を中途採用しているのです」(同社担当者)

 アルムナイには、毎週月曜に外から見たマルハンについて語ってもらう場を設けているという。その一方、つながりの拡大で副業を認め、「戻りたい」「就職したい」と思われる職場の再構築も進めている。新規ビジネス創造は道半ばでも、新規採用などでは効果が見られるという。

 では、アルムナイコミュニティーは、どう構築すればいいか。

「生産性の高いアルムナイにしか興味を持たないような仕組みは、よくありません。とにかく緩やかなつながりを大事にすることです。アルムナイが懐かしさと新鮮さを感じられるとうまく回ります。逆にいうと、退職者に嫌がられるような制度だと、うまくいきません」(鈴木社長)

 石山教授も言う。

「気軽にやりとりができる緩いネットワークを築いて、退職者にウエルカム感を示すこと。そうすれば優秀な人材も戻ってきたくなります。最近は従業員エクスぺリメント(体験)という言葉が意識され、企業はいかに従業員を大切にしているかが求められるのです」

 アルムナイを意識していない企業は、一考の余地がありそうだ。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    3年連続MVP大谷翔平は来季も打者に軸足…ドジャースが“投手大谷”を制限せざるを得ない複雑事情

  2. 2

    自民党・麻生副総裁が高市経済政策に「異論」で波紋…“財政省の守護神”が政権の時限爆弾になる恐れ

  3. 3

    立花孝志容疑者を"担ぎ出した"とやり玉に…中田敦彦、ホリエモン、太田光のスタンスと逃げ腰に批判殺到

  4. 4

    最後はホテル勤務…事故死の奥大介さん“辛酸”舐めた引退後

  5. 5

    片山さつき財務相“苦しい”言い訳再び…「把握」しながら「失念」などありえない

  1. 6

    ドジャースからWBC侍J入りは「打者・大谷翔平」のみか…山本由伸は「慎重に検討」、朗希は“余裕なし”

  2. 7

    名古屋主婦殺人事件「最大のナゾ」 26年間に5000人も聴取…なぜ愛知県警は容疑者の女を疑わなかったのか

  3. 8

    阪神異例人事「和田元監督がヘッド就任」の舞台裏…藤川監督はコーチ陣に不満を募らせていた

  4. 9

    高市内閣支持率8割に立憲民主党は打つ手なし…いま解散されたら木っ端みじん

  5. 10

    《もう一度警察に行くしかないのか》若林志穂さん怒り収まらず長渕剛に宣戦布告も識者は“時間の壁”を指摘