著者のコラム一覧
小沢コージ自動車ジャーナリスト

雑誌、web、ラジオ、テレビなどで活躍中の自動車ジャーナリスト。『NAVI』編集部で鍛え、『SPA!』で育ち、現在『ベストカー』『webCG』『日経電子版』『週刊プレイボーイ』『CAR SENSOR EDGE』『MONOMAX』『carview』など連載多数。TBSラジオ『週刊自動車批評 小沢コージのカーグルメ』パーソナリティー。著書に『クルマ界のすごい12人』(新潮新書)、『車の運転が怖い人のためのドライブ上達読本』(宝島社)、『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた 27人のトビウオジャパン』(集英社)など。愛車はBMWミニとホンダN-BOXと、一時ロールスロイス。趣味はサッカーとスキーとテニス。横浜市出身。

ボルボ EX30の衝撃シンプリシティ! テスラ以来、メカスイッチを極限まで減らしたエコ上質EV

公開日: 更新日:

ボルボ EX30(車両価格:¥5,590,000/税込み)

 シ、シンプル過ぎる! エクステリアもそうだが、一番ビックリしたのはインテリアだ。マッチ箱風のキーを握り、近づくとドアロックが自動解除。これだけでもイマドキのEVっぽいが、それ以上にインパネが超そっけない。

 パッと見、丸というより四角い小径ステアリングの左右にレバーがそれぞれ付いてる他は、センターに12.3インチの大型縦型モニターがあるだけ。

 独立メーターはなく、エアコン送風口もボルボらしいオシャレな縦型以外に見当たらない。他のスイッチ類もステアリング内に十字キーと物理スイッチが数個と、中央ひじ掛けに2カ所のパワーウィンドウスイッチとタッチスイッチがあるだけ。

 リアウィンドウも前席からはフロント用スイッチの切替えで開けることになっており、色々省略されまくっている。それが新型ボルボ EX30の面白さだ。

リサイクル素材っぽい安っぽさは一切なし

 23年に日本発売、今年2月から本格納車が始まった北欧ボルボの新世代コンパクトEVなのだが、一見既存ボルボEVのXC40やハッチバックのC40の兄弟車にも見える。

 だが骨格もコンセプトも完全なる新設計で、良い意味でボルボの伝統を引きずってない。ボディはサイズ感からデザインまで新しく、左右に寝かせたTの字に光るLEDヘッドライトは既存のトールハンマーデザインだが、LEDのセグメント分けっぷりは今までと全然違うし、何より全長4.2m台で全幅1.85mを切る小ささが凄い。

「ボルボ史上最小SUV」をうたうように、これまでで一番小さく、それでいて大人5人が普通に乗れ、318ℓのラゲッジルームも備わる。必要にして十分だ。

 インテリアには今まで以上のリサイクル素材が使われ、現状プラスティック類のリサイクル率は17%。今後この比率はどんどん大きくなっていく予定で、当然のことながら贅沢な本革や天然ウッドパネルなどは一切使われてない。

 今回乗った「ミスト」のインテリアはリサイクルポリエステルを70%使った線維でシート生地を編んでおり、合皮はコルクや松脂、再生ペットボトルの生成品。そのほか亜麻を使ったインパネ素材など環境に優しい天然素材が使われ、どれも質感は高く、リサイクル素材っぽい安っぽさがない。さすがはボルボだ。

“新しモノ感”はテスラEVに初めて乗った時のよう

 肝心の走りもまた新しい。ボディ骨格はグループ企業も使う新世代のSEAアーキテクチャーで、剛性は非常に高く、なおかつ軽い。今回乗ったシングルモーターエクステンデッドレンジ仕様は272psのリアモーターと69kWhの大容量電池を備え、車重1700kg台。モード航続距離は560kmと長く、オマケに0-100km/h加速は5.3秒とスポーツカー並み。

 それでいて、走り味は上質な柔らかさとしっかり感を兼ね備えたもので、これまでにない新プレミアムEVの味わい。

 さらに面白いのはインフォテイメントで、日本車ではホンダしか使ってない車載グーグルを本格搭載。「OKグーグル」の呼びかけでスマホライクに使えるほか、グーグルマップがそのまま使え、停止中にはYouTube視聴も可能。さらにこの縦型モニター上部に実はスピードメーターが組み込まれており、ここでエアコン、オーディオ、電話、車両設定、ハザードスイッチのオンオフまで行える。

 感覚的には、テスラEVに初めて乗った時のような新しモノ感が味わえ、それでいて質感はボルボプレミアム。

 イマドキのEVに何回か乗ってみたけど、言うほど新しさは感じなかった……というアナタ。EX30は他とはひと味違いますので、是非ひとつ。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • トピックスのアクセスランキング

  1. 1

    PR会社社長ダンマリ一転、全部ブチまけ“逆襲”の可能性…note投稿は斎藤知事と事前合意済みか

  2. 2

    斎藤元彦知事の選挙収支報告書で露呈した“隠蔽工作”の跡 PR会社への支出は代表務める政治団体経由という不可解

  3. 3

    杉田水脈がハシゴ外され参院転出に“赤信号”…裏金非公認の免罪符「政倫審」弁明は現職のみ

  4. 4

    不動産投資信託「J-REIT」低迷のワケ…マンションさらに高騰、オフィスも堅調なのにナゼ?

  5. 5

    国民民主党・玉木代表まだまだ続く女難…連合・芳野友子会長にもケジメを迫られる

  1. 6

    「日本電解」経営破綻が波紋…上場企業では今年初、再建の道筋いまだ見えず

  2. 7

    自民裏金議員にまた公選法違反疑惑…福島地盤元職の関係先が家宅捜索されたと地元紙スッパ抜く

  3. 8

    疑惑の兵庫県知事選 雲隠れPR会社女性社長のヒンシュク「映え」実績…広島市観光サイトで原爆ドームいじり

  4. 9

    斎藤元彦知事の公選法違反疑惑「潔白」根拠に疑義…PR会社からの請求書にこれだけの不可解

  5. 10

    石破政権を直撃!岩屋毅外相につきまとう「100万円」疑惑…米国発カジノ汚職で再燃

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    中山美穂さん急死、自宅浴槽内に座り前のめり状態で…大好きだった“にぎやかな酒”、ヒートショックの可能性も

  2. 2

    悠仁さまは東大農学部第1次選考合格者の中にいるのか? 筑波大を受験した様子は確認されず…

  3. 3

    山﨑賢人「興収100億円」を引っさげて広瀬すずと結婚も…“兄”菅田将暉の幸せな夫婦生活に抱く憧れ

  4. 4

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  5. 5

    悠仁さま筑波大進学で起こる“ロイヤルフィーバー”…自宅から1時間半も皇族初「東大卒」断念の納得感

  1. 6

    エジプト考古学者・吉村作治さんは5年間の車椅子生活を経て…80歳の現在も情熱を失わず

  2. 7

    豊作だった秋ドラマ!「続編」を期待したい6作 「ザ・トラベルナース」はドクターXに続く看板になる

  3. 8

    杉田水脈がハシゴ外され参院転出に“赤信号”…裏金非公認の免罪符「政倫審」弁明は現職のみ

  4. 9

    旧ジャニーズ激怒し紅白出場を“固辞”…Nスペ「ジャニー喜多川特集」放送後に起こっていること