著者のコラム一覧
重道武司経済ジャーナリスト

1957年鳥取県倉吉市生まれ。84年フジサンケイグループ傘下の経済紙「日本工業新聞」(現フジサンケイビジネスアイ)の記者となり、千葉支局を振出しに鉄鋼、自動車、総合電機、財界、金融、エネルギー(電力・石油・ガス)などの業界を担当。2000年外資系通信社に転じた後、02年からフリーに。得意分野は通信社時代を含めて在籍足掛け7年にも及んだ日銀記者クラブ時代に人脈を培った金融。自動車業界にも強い。

ブラザー工業に丸和HD…東京株式市場で「闇討ち」「辻斬り」のような同意なき買収が続発

公開日: 更新日:

 東京株式市場で「闇討ち」や「辻斬り」が横行している。相手先企業の経営陣の賛同がなくても強引に買収を仕掛ける、いわゆる「同意なき買収」――の続発だ。

 今月13日にはミシンを祖業とするブラザー工業が東証プライム上場で業務用・産業用プリンターのローランドディージー(DG)に対する買収提案を公表。先週21日には物流企業のAZ-COM丸和ホールディングス(HD)が同じくプライム上場で同業のC&FロジHDへのTOB(株式公開買い付け)に踏み切ると発表した。

 標的にされた両社はいずれも「事前の連絡を受けていない」などとコメント。しかもAZ丸和は買収提案をベースに今後C&F側と交渉するとしているものの、仮に合意に至らなくても「5月上旬をメドにTOBを開始する」と断言しているから尋常ではない。要するに「問答無用」というわけだ。

 2つのディールのうちローランドDGに関しては同社が2月中旬に投資ファンドと組んでのMBO(経営陣の参加する企業買収)を発表。株式非公開化に向けて1株当たり5035円でTOBを進めていた。ブラザーは今回、これを3%超上回る5200円でのTOB案を提示。総額640億円で「全株取得を目指す」としている。

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