賃上げムードの中…企業で新卒初任給の「かさ増し」支給が横行するワケ
物価高などで実質賃金が目減りする中、今年度賃上げを実施する(予定含む)企業は84.8%で、2016年度以降で最大となった。規模別では大企業89.9%に対し中小企業84.2%と5.7ポイント差があるとはいえ、中小企業でも賃上げが進みつつある(東京商工リサーチ 23年度「賃上げに関するアンケート」調査から)。
「今年は売り上げ、利益が伸びていない中小企業でも無理して賃上げしているところが見られます。これまで会社に忖度してきた労組に火がついてスト権を確立して交渉に臨み、世間の賃上げムードにのまれた経営側がそれに応じたケースが少なくありませんでした。日本で本格的な賃上げが起こるかは、来年以降もこの流れが続くか次第でしょう」(人事ジャーナリスト・溝上憲文氏)
■「基本給+固定残業代」の月給を提示
大手ITを中心に若手社員確保のため、新卒初任給の増額を実施する企業が少なくないが、中には額面が大幅にアップされたように見えて、実際に賃上げされているか疑わしいケースもある。