防衛予算「後年度負担」の罠…支払いは政権交代があっても将来まで続く
防衛省の概算要求には無駄が多い。本来なら7兆7000億円も必要はない。それにもかかわらず政治主導で先に予算額を決めてしまった。そのため防衛省は使い切りに窮して不要な事業を多数組み込んでいる。深刻なのは、その弊害は将来にも及ぶことだ。防衛予算の支出は5年後まで祟るからである。
それは「後年度負担」の影響である。兵器や施設は、後年度負担という形での購入となる。戦闘機や建物をつくるには2年から5年、必要である。そして、その支払いは基本的に現物と引き換えである。だから1年目は契約だけ、支払いは2年後から5年後となる。海自の大型艦だけは、若干事情は異なるが、やはり4年から5年後の引き渡し時に相当額を支払う仕組みである。
来年度予算では、この後年度負担が一気に積み上がる。戦闘機2500億円、戦車自走砲装甲車1000億円、ヘリコプター4400億円、ミサイル3000億円、施設整備3900億円。海自大型艦は護衛艦と潜水艦で2700億円であり、さらに、おそらくはイージス・システム搭載艦7900億円のうち半額程度も加わる。