イトーヨーカ堂(上)食品スーパーのヨークと合併 コスト削減をテコに黒字転換へ
イトーヨーカ堂の親会社、セブン&アイ・ホールディングスの2023年3~5月期連結決算は、営業利益が前年同期比19.9%減の819億円だった。歴史的に高水準だったガソリン価格の下落を受け、ガソリンスタンド併設型が多い海外コンビニ事業の営業利益が52.3%減の209億円に激減した影響をモロに受けた。
それでも国内・海外のコンビニ事業の営業利益は849億円。全社の営業利益を上回る。セブン&アイのコンビニ一本足打法が際立っている。
「物言う株主」として知られる米投資ファンド、バリューアクト・キャピタルなどから、総合スーパーのヨーカ堂や百貨店のそごう・西武といった低収益部門を切り離し、コンビニ事業への集中を求められてきた。
そごう・西武は、22年11月に米投資ファンドへの売却で基本合意し、23年2月1日に手続きが終わる予定だったが、労働組合のストライキに発展。今年の9月1日に、ようやく売却を完了した。2200億円の資産価値から負債などを差し引いた実際の売却額は8500万円になる。
セブン&アイは3月9日、低迷が続く総合スーパー、ヨーカ堂の不採算店の閉鎖を含むグループ全体の合理化案を公表した。全国126店舗(今年2月末時点)のうち14店舗の閉鎖を決定。スーパーでのアパレル事業から完全撤退する意向だ。
ヨーカ堂の母体は、1920年に東京・浅草で創業した洋品店「羊華堂」。家業を引き継いだ伊藤雅俊は58年ヨーカ堂(現イトーヨーカ堂)を設立した。この時が実質的な創業である。
60年代に入り、衣食住の商品群を束ねたワンストップショッピングを軌道に乗せ、安価で販売する事業モデルに転換する。
2000年代以降、ユニクロ、ニトリなど、相対的に安い値段で質の高い製品を扱う専門店が台頭した。イオンはいち早く、専門店を中心に据えたショッピングセンターと食品スーパーに切り替えた。だが、ヨーカ堂は、それまでの収益の柱だったアパレル事業が、集客力や価格競争力を失い、業績が低迷した。
ヨーカ堂の売上高に相当する営業収益は、00年代初頭には1兆5000億円を超えたが、20年代以降は1兆円トビ台に低迷。23年2月期には、とうとう1兆円を大きく割り込み、前期比37%減の7293億円になった。その結果、損益は21年2月期の37億円の赤字が、翌22年同期は112億円の赤字、23年同期は152億円の赤字と赤字幅は拡大する一方だった。
抜本的リストラが待ったなしの状況に追い込まれた。